榊一郎、五代ゆう「五代ゆう 榊一郎の小説指南」

「五代ゆう 榊一郎の小説指南」(HJ文庫編集部 ZERO-section編 HOBBY JAPAN)というライトノベルの指南本を読む。いい歳してアレなのだが、地力が全然ないので。他、現役作家の座談会というところに興味をもったのも理由。業界の動向をさっと俯瞰できるか、くらいの関心である。


共通のベースがありつつ価値観・スタンスの異なる座談会なので読みやすい。「引き出し」「データベース」と口酸っぱく言われる。要するに読書量である。小説をはじめ、創作物は(架空であっても)他者の人生の追体験なので多いに越したことはない。


話の続きが書けないのはキャラクター造形が詰まってないから、という指摘があってなるほどと思う。この一文だけでも価値あるかと。


他、面白かったのは若い世代とのジェネレーション・ギャップ。今中堅の世代は漫画・アニメで育った世代なのだが、若い世代から濃いオタクが減りつつあるとか。


今でも印象に残っているのは、小説家養成講座で映画「七人の侍」を生徒たちに見せたときの反応。「七人の侍」は映画の教科書的作品で、ライトノベルにも応用可能だと思うけれど、突飛な反応をする生徒がいて微笑ましいのだ。


余談。

当時たまたま「ドラマ」誌のテレ朝シナリオコンクールの選評を読んでいたのだが、「何でも書けるタイプ」「これが書きたいというタイプ」と作風の傾向が割れていたそうだ。「何でも書けるタイプ」は逆に言えば突出したものがないケースがある、「これが書きたいタイプ」は業界に入ってコンスタントに書いていけるか読みきれない、そういう側面もあるのだとか。

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