第5話通知表

 小学生になる前から、桜のお母さんはひらがなを覚えなさい、と言ってひらがなを教えました。


 ひらがなを覚えたおかげか、はじめ、学校の勉強はそれほど難しいとは感じませんでした。


 ところが、夏休み前になって通知表が配られると、桜は首をかしげました。お友達は、最高成績ばかりなのに、桜の通知表は、もう少しがんばらなくてはいけない項目があったのです。


 家に帰って、両親に通知表を見せると「いい成績じゃないか」と言って喜んでくれました。


 でも、私は、頭が悪いみたいなの……。


 そんな思いが、劣等感になるのはこの頃からでした。



 お母さんが心配だと思ったのは、通知表の記述欄でした。


『もっとお友達を作りましょう』


 小学生になっても、桜には親しい友達ができませんでした。

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