第4話自転車

 桜は内気な子供に育ちました。


 他の子供が遊んでいる時に、一人で遊んでいるような子供です。


 でも、この頃はまだ、友達が欲しいとは思いませんでした。


 お母さんは桜が一人でいるのが気になりました。同時に泣き虫なことも。


 三才になっても夜泣きが止まらなかったくらい泣き虫な桜です。


 この先、大丈夫でしょうか。


 お母さんは、桜にあることを教えました。


 お友達を作りなさい。そして、自転車に補助輪なしで乗りなさい。


 お父さんにも手伝ってもらって、桜はふらふら補助輪のない自転車に乗りました。怖いと泣きながら。後ろを誰かに支えてもらいながら。


 少し練習すると、空気の中、なんとかバランスを取って自転車に乗れました。


 私は自転車に乗れる!


 桜にとって、お母さんにとっても、新しい一歩です。


 友達はまだ上手く作れません。


 けれど自転車に乗れたことで、桜の心に、強い自信が宿るような気がしました。


 

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