第22話ニャメロ

 「一目見たときから彼女にびびっときたんだ、立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花、そして瞳は百万ボルトだったにゃ」

 黒猫はぽーっと夢見るように遠くを見て言った。

 そんな綺麗な人なら一目見てみたいにゃ。

 「綺麗な白い毛に、オオイワシの匂いがとても素敵な猫にゃんだ」

 あー猫か、それなら興味ない。

 「私達パンドレの街とワントワープを牛耳るニャングは長い間抗争しているんにゃ、ワントワープのニャングのボスの娘さんがその麗しのにゃんこなんです、その娘をボスの後継者に決めようとワントワープのニャングに宣告しました、しかし我々パンドレは世襲せいをやめて、にゃん望のある猫をボスにしようとしてますにゃ、女性という事も彼らの反感を買いました」

 この世界はまだ男女平等ではにゃいんだなぁ。

 俺はここにいるパンドレの黒猫がスパイ活動したが、そこでそのワントワープの女の子にゃんこに恋した事を知った。

 「結ばれにゃい恋かぁ、その気持ち分かるわぁ」

 チキはチラリとクララを見たが、クララは虚空を見つめて目を会わさないようにしていた。

 「ですがやはり、ワントワープに行った方がこの応急処置だけでは命に関わります」

 黒猫はうなだれた、お髭もたらりとたれている。

 「せや、クララ、サモンメイドなら伝説の医者、ホワイト・キャットを召喚したらええんとちゃう?」

 チキがおもいっきしオールドローズ色の肉球のある右手を上げた。

 (最近マイナーな色の名前を使うには理由があるが、ここで書いたらそれこそ大叙事詩になってしまうので書くのはやめよう、誰?)

 「しかし、困りました、召喚するには紙が必要ですね」

 クララはうつむき指をカタカナの(コ)の字にまげて顎に当てて考えていると、この前のベディバのチョコレートの包み紙をクララは取り出した。

 「それはクララが記念に……」

 俺が言うか言わないかの間にモッキーというマジックで魔方陣を描き地面にそっと置いて風で飛ばないように小石を置いた、そして召喚されたのは白いコートを着てその下に医療具を隠しもっているホワイト・キャットだった。

 そしてクララはチキの頭をナデナデしたのでチキは鼻血を出して倒れた。

 黒猫の希望でパンドレにつきニャングのアジトにつくと柄の悪い猫のたまり場についた。

 「にゃんだ? ポカポカとスティっと人間じゃにゃいか」

 右目に傷のついた猫のニャングが(したっぱであろう)そう言ったのでチキとクララは怒った! えっこの猫悪いこといったの?

 聞いてみるとポカポカは雑種で俺の事らしい、そしてスティはチキの事でスコティシュフィールドの侮蔑の言葉らしい。

 だから耳が垂れ下がっていたのか。

 「このお方は私の命の恩人です」

 さっきの馬鹿にした猫がはっと背を低くしてお辞儀した

「二代目失礼しました」

 黒猫はここのニャングが推している猫だった!

 名前はニャメロと言うらしい。

 

 

 

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