第19話ノンストップチキ

 緑色のゴブリンっぽい奴と猫の女の子が走って行くのを見たという情報をたよりに少し大きな街にたどり着いた。

 ポンチョの街とクララに教えてもらった。

 活動写真屋(映画)さんがあるというので行って見ることにした。(ミミ、ちょっと待ってて、後ゴブリンさんも活動写真なら少し見ていっても許してくれるだろうと思った)

 チキは何処だろうっと辺りを見回してみると簡素な作りの木造の看板、二つに分けておく事ができる、喫茶店によくあるような看板のポスターをなめまわすように見ていた。

 俺はそれをチキの肩ごしから見てみると字がこの世界の字なので読めなかった。

 メス猫が縄で縛られて苦しそうな顔しているので、多分ホラーであろう。

 「チキ、これなんて読むの?」

 チキはゆっくりと俺の方を向くとにゃぁっと笑ってよだれをたらした。

 そろそろチキにもよだれかけ買わないといけないかな?っと思った。

 そしてその活動写真の文字を読み上げた。

 「メス猫はじめ恥辱の一夜だにゃ」

 聞いてもよく分からない、しかし俺を獲物を見るような顔をしていた。(さっき食べたマタタビ団子のあんこがついてるのかな?)

 そこへクララがやってきて急いで俺の目を両手で隠した。

 そしてチキはクララにこう言った。

 「一緒に三人でみようにゃ、そしてその夜は三人でグヘヘ」

 時代劇の悪代官のような顔をしている。

 チキはよく時代劇を見てるという女の人が回される所がいいという、回される? ベーゴマでもするのかな、でもそれじゃ時代考証が滅茶苦茶だと思った事があるが。

 「まずいですね」

 クララがしずかにそうつぶやいた。

 俺はよく元の所でTwitterでつぶやいていたよ。

 っと言って笑ってもらえなかった、よく自信作が不評でそうでもないなっと思った作品が受けるという感じである。

 「私達はにゃっプリンの活動写真を見てきます」

 クララは俺の肉球つきの手をとって活動写真屋さんに入っていった。

 チキは縄で結ばれた猫の映画を見に行っ

た。

 

 にゃっプリンは猫族全身黒いコートにちぐはぐの靴を履きポワロみたいな帽子を被ってくねくねしてみんなを笑わしていた。

 俺もそのひょうきんな仕草に落語(三代目三遊亭金馬ならたくさん聞いた)が好きだからこういうのは見ないっと思っていたが、いざ見ると面白くてゲラゲラ笑っていた。

 俺はにやっプリンに感化されくねくねしながら歩いていると、チキが縛られた猫の活動写真を見てでてきた、ふーふー言ってるし。

 「ねぇ、あの縛られたメス猫ちゃんどうしたの? 縄で縛られるなんて相当悪い事したのかな?」

 俺の質問を無視してチキは俺とクララを見てそわそわしはじめた、背中がかゆいのかな?

 それとも、あの縄の映画もくねくねしてたのか?

 「今日のお宿は部屋が一つの三人で泊まる部屋にしにゃいか?」

 「別にいいけど」

 するとクララは急いで俺の口をふさいだ。

 「いけません、今日は別々のお部屋を用意しました」

 何故かクララは別々の部屋の宿を用意していた。

 

 その夜、宿屋のベッドから目をこすりながらゴロリとすべり落ちるように落ちるとおしっこっと一人で言って、進んで行くと、猫になっているから暗い所でもよく見えるが入り口のドアにチキがたたずんでいた。

 「ねぼけてるにょかー? ここはお前の部屋じゃないにゃ」

 ニヤリとチキはペロリと舌を出すと、刹那、ものすごいジャンプ力で天井にぶつからないギリギリの高さまで飛ぶと俺を押し倒し、俺のズボンを握った。

 「お前は朝までわちの言うことをきくんだにゃ」

 ふーふーっと息が荒い!

 扉がバーンと勢いよく開かれるとそこにはクララが立っていた。

 「離れなさい」っと強く言葉を発した。

 チキはクララの方に向き、その細い目をもっと細めた。

 「クララも一緒にするにゃ」

 またもチキはものすごい高さまで飛び上がり、クララの胸をめがけて飛んで行った。

 クララはチキを払いのけチキはズザーっと床に滑ると(おかげでそこは埃が取れて綺麗になった、モップの要領である)

 チキはゆっくり立ち上がり、クララは強いから無理だと思ったのか俺の背後に回ってきた、いつもより何倍もの早さ赤いチキだ。俺のうなじをかぷっと噛んだ。(俺はカプリコじゃねぇ)

 身動きがとれない、またもチキは俺のズボンをつかみ、なんとずらそうとした。

 俺がふざけて「イヤン」っと色っぽく声を出すと、チキは鼻息を荒くした。

 「ダイ様、今のチキさんにふざけた言葉は逆効果です」

 クララはバク転をしてチキの後ろに回った。

 ドレスの中をのぞけるかと思ったがギリギリ見えず、しかもペチコートの可能性もあるので俺とチキが舌打ちをした。

 クララはガッとチキの両腕をつかんだ、暴れてたチキだが、大きいお山がぷにっとした、感覚にチキはだらしない顔になった。

 クララは急いでチキのしっぽをつかんむ、ビリリッと毛を逆立ててふにゃりとなって気絶した。まるで青い猫がたのあいつだ。

 「チキはどうしたんだろう」

 心配そうにクララにたずねる。

 クララは少し顔を赤らめうつむく。

「チキさんはチャツジョーキになってしまったのです、でも起き上がると元に戻るでしょう」

 チャツジョーキ本当に怖い言葉だった。

  

 


 

 

 



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