第14話アギモドの猫
「あっあいつは!」チキが叫んだ。
黒いローブに黒のフードをかぶった者が三人フィールドに芝生をふみながらやってきた。
真ん中にいるのは小さくてピンっとしたねこ髭があることから猫族だと思われる。
「ニャハ!」
真ん中にいた小さな猫族がフードをはずすと女の子であった。
観客が蜂の巣をつついたような大騒ぎとなった。
「あー、あれはやっぱりアギモド公国のアイドル、ミュンニュだにゃ!」
言いにくそうな名前だっと思ったら猫になった俺はそのややこしい言葉もたやすく発音する事ができた。
オッドアイだっけ? 右の目が赤くて左の目が緑色だ。
「ミュンニュちゃーん!」
客席の男の野太い声が響く。
それに答えるようにミュンニュはお手てをあげて、その後投げキッスをかました。
「みんにゃー、ありがとー、ニュンニュはー新しい魔法おぼえたの! でぇ、どこで使おうかなって思っているとみんながいーっぱい来てくれるここに決めたの、リザードマンをぉ、三匹放してニュンニュの魔法をみんなに見せてあげたかったの」
ニュンニュはきゅるるんっという効果音とともにウインクして首をかしげたのだ。
みんなメロメロになっているが(チキも)俺ははらわたが煮えくりかえる思いがした。
つまりこいつは自作自演をした事になる。
芝生を踏みしめながらニュンニュと背の高い者が俺に近づいてくる。
「やっほぅ、何にも活躍してないのに目立っちゃった君ー、あはは私の計画を盛り上げる前座をつとめてさんきゅるるん❤」
この猫娘(にゃんこら倶楽部のリーダーらしい)に怒りを感じていた。
そしてニュンニュは、おーい聞いてるっと顔の前でお手てをひらひらさせた。
俺は怒り狂ってその猫に唾をはきながらどなりつけた。
「なにが魔法を見せたかっただ! みんなはくにゃマタタを楽しんでるのに、てめぇがしこんだリザードマンによって水をさされたんだぞ!」
ニュンニュはたじろいだ、背の高い者が前にでてこようとしたがニュンニュは手をあげてそいつを制した。
「みんな怖がってたんだぞ、死人がでたかもしれにゃいんだぞ!」
涙目になったニュンニュ、言い過ぎたかな? っと思っているとビックリする言葉をはなった。
「ニュンニュ、ニュンニュ面と向かってこんなに叱られたのはじめてにゃー、ニュンニュ、あなたを気に入っちゃった、私のお城に来て、いっぱいおもてなししてあげる❤」
いきなりニュンニュはくねくねしはじめた。
俺はくねくねしすぎだろっと心の中でささやいた。
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