第6話罠

 俺達はさっそくマチュー・ポプキンズに連れられ、さも賑やかな所で繁盛している宿屋であろうと思っていたら(只で泊めてくれるほど景気がいいと思っていた)路地裏に案内された。

 地面は舗装されてなく、ゴミだらけでネズミが沢山いて壁の穴からヒョッコリ顔を出す度に俺はネズミに飛びかかろうとしたが、その度にクララに首ねっこをつかまれて「落ち着いて下さい」っと言われた。

 だってねこだもん。

 薄暗いが俺は猫になっているため、問題は無かった。

 俺は猫になってる為に鼻が敏感で路地裏が物凄い異臭を放っている、俺は口をへの字に曲げた。

 「さっさっ、こちらへどうぞ」

 灰色の崩れかけの家についた小さい文字でマチューの宿屋と書いてある、看板がドアノブにかけてあった。

 マチューによって何年も開かれた事がなかったような扉が開こうとするたびギィ、ギィっと耳を塞ぎたくなるような音がする。

 中も汚かった。

 床は紙切れが転がり、酒瓶も割れて転がっていた。

 下手するとふんずけて怪我しちゃうにゃ。

 カウンターはカラテチョップをお見舞いされたのかへこんでいるし、蜘蛛の巣がたくさんあったので俺がそれを見ていたると、気付いたのかマチューは蜘蛛もお泊まりしてるんですっとつまらない冗談を飛ばした。

 「それでは、お部屋はこちらになります、子猫さんはこちらへメイドさんはあちらのお部屋になります」

 別々の部屋を紹介され、やはりなっと思った、一緒のお部屋かと思ったが人生はそういいように進まない。でも一緒になっても何も出来ないチキンだけど。

 


 用意された部屋に案内されると窓も無く薄暗いというか真っ暗な部屋だった。

 ん? この匂い……。

 目が慣れてきた、すると俺は驚いてニャア!っと叫んだ。

 後ろにでんぐり返しした。

 そこにはべったりと血がついている鉄板に木箱で支えている軽く雑に作っているベッドがありその横のテーブルには猫の首が何匹か並んでこちらを睨んだり目をつむっている猫の首だ!

 気付いた時にカチリと扉がなり、マチューが入ってきてにやにや笑いを浮かべ手にはククリという鉈の様な刃物を持って不気味な笑顔を浮かべていた!

 

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