第3話ゴブリン現る
俺はなにがなんだか分からないまま、お城に連れていかれていた、お城の玉座の間にいて右に俺、左にミミがいた。
隣に赤い座布団に座っているのは俺と結婚する事になっている最初の草原で出会ったミミだ。
俺は青い座布団にあぐらをかいて座っていた。
ミミは角隠しを被っていて、俺はフレディマーキュリーの腕の所にビラビラがついている胸毛を目立たせるVの字ネックの服を着ていた。(男性は結婚式の時はこれらしい)
そして後ろの玉座には王様が座っていた。
お城は灰色のレンガに魚をかたどった銅像がおいてあったり、油絵が飾られてあった。さらに色んな豪奢な衣装を着た貴族のみなさんが楽しそうに笑い、その中にはめでたいですなぁ、これで王様も安泰ですわ。
っという声も聞こえてきた。
これから、何か余興が始まるらしい。
カーテンに隠された扉から足音もせず、ゆっくり歩いてきたのはちょんまげをした三毛猫だった。
着物を着て畳んだ扇子を持って入ってきた。
「にゃかさぁごやぁ、このうらぶにょにぃんげんごじゅうねん、猫は七回生きるぅ」
しずしずと舞いながら俺達を楽しませた。
みんな「はぁ」とか「あの方は!」っと言う声が聞こえたのでメイドの女の子に耳打ちした。
メイドさんは俺の耳元(今やもう頭の上にあるとんがった耳)までしゃがみこみ、ショートのブルネットの髪がふわっと垂れ下がり、いい匂いがした、猫になり嗅覚が発達したのか、それはとても俺の鼻にバファリンのような優しい匂いを楽しませてくれた。
俺はあの舞を踊ってる猫さんは誰か? っと訪ねてみると、メイドさんはこう言った。
「あのお方はネコチューブの『舞ってみた』で有名なオニャノムニャガさんです」
俺はよく分からかったがほんのちょっとうつ向くとメイド服の胸の辺りにお山の割れ目が見えたので急いで前を向き、「そっそうですか」った言った。
人間だったらほっぺが赤くなっていた所であろう。
その次はマラカスを持ったメチェチェコ生まれの黒渕猫団がようきに踊りあかした、オニャノムニャガさんが静だとすればこの人達は動だな、っと思った。
「えー、結婚式もかきょうに入った所でダイ王子とミミ姫の誓いのキスを」
細大臣の言葉に俺は思わず息をのんだ。
「キキキキキキキキキィスゥ!!」
俺は一回もキスをしたことない。
相手は猫だがこっちも猫になったせいかミミにドキドキしてしまう。
ミミは角隠しを少し上にあげて小さな口をすぼめた。
目をつむりながら俺の唇を待っている。
俺も思わず唇を蛸のように伸ばした瞬間、
何かおかしい事に気付いた、緑の霧のようなものが漂ってきた。
するとその場にいた猫さん達が地べたに背中をスリスリさせ始めた。
「これは、マタタビを燃やしてガスにしたマタタビガスじゃ!」
王様がそう言ったがもう遅い。
兵士もゴロゴロして酔っぱらったようだ。
王様もついに、ニャーゴっと甘えた声を発すると俺は誰かに口と鼻を手で押さえられたので「うっぐっ」っと思わず声を出した。
その後、マタタビガスが王の間の大扉の隙間から出なくなると、硬い樹で作られた扉が大きな丸太で壊された。
口を押さえられた俺は目を見張った。ゴブリンだ! それもたくさんの。
この前ゴブリンの話をしてしまったので口笛をふくと、蛇が来るよっとっと言われるノリで来たのであろうか?
何故にゴブリンと分かったのかと言うとファンタジー映画やゲームに出てくるまんまの格好で出てきたからである___ちょっとはひねろや____割れたヘルメット型の兜を被り、鉈を持ってる者や棍棒を持っている者もいる。
自然のような綺麗な緑とは天と地ほど違い、ゴブリン色(勝手に考えた色)のどす黒い緑(絵の具でふざけていろいろな色を混ぜあわせて黒に近い緑)それに、ゴブゴブと鳴いているのもそれを裏付けた。
とにかく俺はメイドさんに口元を押さえられながらゴブリン達がわんさか沸いてゴブリンパーティーでも始めるんじゃないかと不安にかられていた。
パーティーはしなかったけど、ゴブリン達はそさくさとへたれこんでいる猫を無視して、ミミ姫をつかむと大きな袋に入れて帰って行った。
俺とメイドさんはボー然とその様子を眺めている事しか出来なかった。
「ちょっと息を止めて」
いきなりメイドさんにそう言われて、彼女は俺の口から手を放すと急いで余興に使われた椅子を持ち上げて壁にある、ステンドガラスをわりはじめた。
色とりどりのガラスの破片がお城のカーペットの床に散乱した。
まさに地獄絵図、猫はコロコロし、ガラスは割れ、食事はゴブリンにかっさられていた。
あっついでミミも。
ステンドガラスが割れてガスが消え去り、猫達は正気に戻った。
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