◆2ー6

 

6.地面

 

 

 

 昼休みとなり、この日も天気が落ちついていたので、3人は校舎裏のあずま屋で昼食をすませた。

 

 

まつり「ごちそうさまでした!」

 

 

しおり「今日は下書き仕上げないと……」

 

 

こより「部誌のしめきりがいつもより早めなのだ」

 

 

 食べ終えたランチボックスをそれぞれ手早く片付けると、満腹感からベンチの背もたれに3人いっしょに深く背をあずけた。

 

 

まつり「そういやぁさ、2組のヤツに部活聞かれたんだよ。

“文芸部?何それウケるー♪”とか言われちゃったよー」

 

 

しおり「あー、まあ、あんまり有名な部じゃないしね。

仕方ないわよ」

 

 

こより「マイナー……なのだ」

 

 

まつり「知られてないのは仕方ないけど、手芸部や園芸部と間違えるヤツもいるんだぜ。

まあ、仕方ないけど」

 

 

しおり「ゆいいつ目立つといえば、文化祭の時くらいのものよね。

それも部員以外には全く読まれなかったけど……ι」

 

 

こより「地味だけど……面白いのだ」

 

 

まつり「結局それだよな。

楽しい、面白いからやってるってだけ。

ウソをついていい職業は、小説家と手品師くらいだって言うしな!」

 

 

しおり「つまり、作家はみんな、ウソつきの天才ってことね♪」

 

 

こより「大ウソつきなのだ」

 

 

まつり「って、ひどい言い方だな……ι」

 

 

しおり「楽しいウソをつく天才って意味よ♪」

 

 

こより「創作家とウソは切っても切れない関係……なのだ」

 

 

まつり「まあ、どんな作品でもウソだけで作られてるわけでもないんだけどな」

 

 

しおり「かの有名な、はやお大先生もおっしゃいました……」

 

 

こより「“作品には、キャラが立っていることのできる地面が必要”なのだ」

 

 

まつり「これ以上ウソはつかない、っていう境界線のことだな。

やっぱ、はやお大先生は偉大だぜ!」

 

 

しおり「そうね、ジュン先輩が言ってたけど、レベルの高い作品は、やっぱり頭のいい人でないと作れないそうよ」

 

 

こより「作品 ≒ 英知 ……なのだ」

 

 

まつり「よ──し!

この作品の地面の固さを調べてみようぜ!」

 

 

しおり「面白そうね♪」

 

 

こより「スコップスタンバイ……なのだ!」

 

 

 まつりが意を決して立ち上がったので、しおりも同じく立ち上がって同調した。

 

こよりにいたっては、立ち上がった上にどこからか三人分のスコップやツルハシを取り出すほどの気合いの入れようだ。

 

 それぞれ一つずつの穴ほり道具を手にすると、さっそく3人は近くの地面を実際にほり始めてしまった。

 

 

まつり「どこまで行けるか楽しみだな!」

 

 

しおり「ひうぴー頭悪いから、きっと地球の裏側まで通じちゃうわよ♪」

 

 

こより「ブラジル……アルゼンチン……なのだ♪」

 

 

3人「あっはっはっはっは♪」

 

 

 えー……、このままでは本当にブラジルを登場させなくてはいけなくなりますので、ここで終わっておきます……ι

 

ちなみに、日本の真裏は残念ながら海らしいです。

 

 

3人「え────────っ!?」

 

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