◆2ー4
4.夢オチ(まつり)
しおり「魔獣が……」
こより「消えてゆく……のだ」
3人の魔力を合わせて放った炎の魔法で、魔獣はついに力尽き、その姿を光のつぶとなって四散させてゆく。
まつり「やったな……みんな!」
まつりは2人に向けて、ほっとした笑顔を送った。
が、安心したのもつかの間、消えゆく魔獣の死体の中から、ぽつりと生まれてくるものがある。
まつり「な……何だあれ!?」
見ればそれはアオムシに手足が出たような姿の、人の子ほどの大きさの異形の怪物。
体長に似合わず強大な魔力を秘めているらしく、間合いのじゅうぶん外からでも、それがいやというほど感じられた。
しおり「そんな……あれが、魔獣の核!?」
こより「魔獣の……真の姿……」
そのおそろしげな造形、あやうげな光を放つ怪物に、3人は絶望すら生じて面持ちを暗くした。
しおり「もう……本当に魔力が無いわよ……」
こより「ゲーム……オーバー……」
まつり「どうせゲームオーバーなら、やるっきゃないだろ!」
しおり「まつりちゃん……そうね、
奇跡ぐらい、起こさなきゃね……!」
こより「ヒドゥンパワーなのだ!」
3人は今一度それぞれのメイジステッキを交差させ、怪物に向けて魔法を放った。
3人「‡ノアジーガ‡!!」
怪物「キシャアアアァ!!」
──……んせい!
せんせい!
先生!」
まつり「……んん……」
まつりは机の上にうつぶせになるかっこうで目を覚ました。
しおり「まつりちゃん先生!
居眠りしてちゃダメですよ!
はやく原稿上げちゃってください!」
担当編集のしおりが、横合いから鬼の形相でさいそくする。
こより「せんせー!
トーン貼り終わったのだー!」
向かいの机から、こよりが作業を終えた原稿を一枚こちらへ差し出した。
しおり「あと10分しかありませんよ!
これ以上は輪転機……」
まつり「夢だな!(キッパリ!)」
【ジリリリリルリリリリッ】
目覚まし時計の音で、まつりはようやく本当に目が覚めたことを悟った。
和室の畳の上にしいた布団。
そのかけ布団をけって気付くより先に彼女の手がまくらもとの目覚まし時計を止めていた。
まつり「……二段オチ、来たっ!」
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