第13話
保健室に向かう間、
沙紀も返事はするものの、どこか上の空といった状態だ。
声をかければかける程、彼女たちの反応に心配が増すばかりで、
沙紀も特に何か言うわけでもなく、三人は無言で保健室へ向かう。
しかし、保健室の前に到着したところで、
「あら~、保健室の先生お休みなのね。」
どうしましょう、と
保健室のドアにお知らせが貼ってあるようで、沙紀は
『今日は、保健室の先生はお休みです。
保健室を利用する場合は、職員室にいる先生に言ってください。』と書いてあった。
養護教諭は休み。他の教師に報告しなければ保健室は使えない。
試しに
「開かないわね~。」
「いや、普通開けようとしなくない?」
平然と言う
「沙紀ちゃん、先生に言う……?」
貼り紙を確認した
ただでさえ、教室であれだけ騒ぎになったのだ。今から教師と話す気力など無い。
それに、既に教室では担任が来ているだろうし、クラスメイトが話をしているだろう。
「事情聴取みたいになりそうで嫌。今日は帰るわ。
あの空間に戻る元気は、
肩に掛けた学校指定の鞄のひもをぎゅっと握り、
一人で教室に戻る。家に帰る。どちらも選びたくない選択肢だ。
沙紀はつらいことを聞いてしまったと後悔する。
どちらか選ばなければいけないことだが、追い討ちをかけるような聞き方だったかもしれない。
「
一人より二人なら、まだましだろうと、沙紀は提案する。
面倒くさいのは面倒くさいが、この腫れた頬を教師に見せつけてやるのもいいかもしれない。
そして、一部始終話してしまって、クラスメイトの行いの愚かさをわかってもらうのもいいかもしれない。
そもそも、まともな大人であれば、
それでも、まだ悩んでいる様子の
「じゃあ、うちにいらっしゃい!みんなでサボりましょ!」
明るい声で、サボりの提案。
「そんなことしたら、
「大丈夫よ。先生には、うちの家族から連絡入れてもらうわ。先生って、穏やかな保護者って好きでしょ。うちの家族穏やかだし。お姉ちゃん以外は。」
最後の一言で、
確かに、彼女は穏やかとは言い難い女性だった。
……ということは、彼(彼女)の両親が穏やかということだろうか。
そして、
「沙紀ちゃん。桜井君のお家、整形外科だったから……」
綺麗な顔に痕が残らないよう、早めに手当てを受けてほしい。
教師に会わない方法で、手当てを受ける方法は、
もちろん、
「それならいいけど、
いつの間にか
「アタシが言うのもなんだけど、うちの両親って結構理解あるのよ。アタシをアタシのまま育てるような寛大な親だしね。」
その顔を見て、
結果、満場一致で本日はサボり決定。
銀葉ミモザ 六佳 @Rhodonite
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