第4話佐久間 凛

梓さんは学校で常に女子に囲まれている。

その中でも常に佐久間凛というボーイッシュな梓さんとは対照的な女子がそばにいる。

佐久間はほんとうによく喋る。それはもう感心するほどに。

どこからそんなに沢山話すことを見つけてくるのか教えて欲しいくらいだ。

佐久間自身友達が多いから余計に梓さんのそばに人が来る。

まぁそのお陰で男子が梓さんに話しかける隙がない。ついでに妖も何故か学校にはいない。

梓さんはいわゆる 高嶺の花 だ。



────「梓ちゃーん!どうしたー?外になんかいる?」

「あ、ううん。雨降ってるなぁって思って」

「もう最悪だよね!雨って!濡れるし髪の毛はねるし荷物増えるし!気持ちも沈むし!そーだ!雨で思い出したんだけどさこの前───」

ほらまた始まった。

佐久間のあんな一方的な話を延々と聞ける梓さんを尊敬する。

…ほんとに全て聞いてるかは分からないけど。

眠たそうだから。

きっと梓さんのなかで佐久間の話=仮眠の時間になっているんだと思う。




───「き、如月 梓さん!!」

隣のクラスの坂本悠哉だ。

「あの、…っ好きです!その笑顔も眠たそうな顔も全てが好きです!俺と、付き合って下さい!」


─公開告白じゃん!

─眠たそうな顔が好きってマニアックだな

─またかよ!



ほんとに。またかよ。

梓さんはモテる。存在しているだけでモテる。

きっと坂本も梓さんと話したことはないだろう。一目惚れというやつだ。


「ごめんなさい。今誰とも付き合うつもりないから。ほんとにごめんなさい」

「そっ、そっか!わかった返事ありがとうな」


「梓ちゃんまた振ったの?!もったいないなーもー!凛なら絶対OKするのになー」


梓さんは今まで告白してきたものを全て断っている。

いつだったか梓さんに聞いたことがある。

「どうして告白全て断るんですか」

梓さんは答えてくれなかったけどたぶん、好きな人がいるんだと思う。

男の勘だ。





──学校がおわり、昼休みに梓さんからメールで指示された場所に行く。

依頼だ。


そこには一人のスーツを着た男の人がいた。


「初めまして。あなたがお祓いを依頼した方ですか?」

「はい。村井といいます。」


見たところ50代くらいの少し細めの人。

依頼は、自分自身を祓って欲しい。

梓さんに依頼する前違う旧暦月名を持つ能力者の元へ行き相談したところ梓さんを紹介されたそうだ。

だれに紹介されたかは教えてくれなかったけど。


「わかりました。それでは明日、こちらへ来てください」

そう言って梓さんの家の地図を渡し、別れた。



【佐久間 凛_end】

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