第4話 部活は凄まじいものでした。
僕は詠歌さんに言われた通りに部室に行った。
「おー!来たね」
「この子が詠歌のお気に入りか」
「初めまして。詠歌先輩に無理矢理部活に参加させられました。安倍真です」
僕は真顔で棘のある自己紹介をした。
「そんな棘のある言い方しないでほしいな。これ、見られたくないでしょ?」
「……すいません、本音が出てしまいました。僕はこんな美しく聡明で最強な生徒会長に誘われてこの部活に入りました」
次は棒読みで話した。
「まあ、私達も同じだから仲良くしよう。この部活、結構楽しいよ」
「はい。あの、これで全員なんですか?」
僕が見る限り、今詠歌さんを入れても3人しかいない。
「ううん。あと4人いるよ。意外といるでしょ?」
「そうですね。この部活に入るって事は結構濃いキャラなんでしょうか」
「まあ、そう言う事になるね」
話しをしていると、部活の部屋が開いた。
「あ、来てる」
「ほんとだー!ほら、万理も!!」
「引っ張らないで!言われなくても歩けるわ!!」
うわ。とても濃いメンバーの予感。
「さて、改めて自己紹介ね。私は
「は、はじめまして」
小さな女の子が後ろで立っていた。髪色は白色。そして目は緑色と綺麗な色だ。
「次は私だね。私は
「狛犬の
「
狛犬の様には見えないけど。
僕の前に立っていたのは人間の少年だった。
「その、私は
「
礼儀正しい式神だな。
「じゃ、次は万理だよ!」
「分かってるわ。私は
「申し訳ない。主ながら、あなた方を好んでいない様で。あ、私は梟の
「あ、こちらこそ」
皆式神って礼儀正しいんだな。
「あ、僕は安倍真です。1年生です。それで、これが……」
僕が手を横にすると、ロリの姿になった狐子が出て来た。
「妖狐の狐子。よろしく」
あれ?結構緊張してる?
「あれ、葵は?」
「もうそろそろ来ると思うよ」
「葵?」
「あ、もう一人の部員。これがもう静かであんまり話さないクールなキャラでね」
「へー」
僕は”葵”と聞いて、昔の幼馴染の事を思い出した。私情で引っ越してしまった以来、ずっと会っていない。
葵ちゃん、元気にしてるかな?
考えていると、扉が開いた。そこには長い黒髪に紫色の瞳をした女子生徒が経っていた。
「ごめん、遅くな……」
僕と目が合うなり、扉の前に立っていた女子生徒は固まってしまった。
――葵視点――
小さい頃、私には親友がいた。その子の名前は安倍真。とてもミステリアスでかっこいい人だった。
「葵ちゃん、僕ね葵ちゃんと結婚するのが夢なんだ」
「私も真と結婚したい!!」
「じゃあ、僕達は両思いだね!!」
なんて小さい頃はよく話していた。だが、私が10歳の誕生日を迎えたころ陰陽師の力に目覚めてしまい、陰陽学園に転校が決まり母親の本家へ引っ越すことになった。
その日からもう真とは会っていない。元気にしているかな?
「ごめん、遅くな……」
私は目を疑った。目の前にはずっと思っていた真が立っていたのだ。何でこの学校にいるのか私には分からなかった。でも、とても嬉しかった。
「ん?どうしたの、葵」
「葵?あなたが葵さんですか」
女子生徒は驚いた顔からすぐに真顔になった。そしてすぐにソファに座った。
「あの、初めまして。僕は安倍真です」
「……私は
「智徳さんですか。よろしくお願いします」
そう言うと、智徳さんは溜息を吐いた。何か呆れている様子だ。
僕、何かしたかな?
「まだ分かんないの?」
「へ?」
そう言うと、髪を持ち上げて僕をみた。
この姿、見覚えがある。僕と一緒に遊んでいた女の子の髪。
「も、もしかして、葵ちゃん!?」
「やっと気付いた」
「な、ななんで!?」
「私、10歳からこの学園の分校にいたの。それで、高校に上がってここに来たのよ。まさか真がいるなんて思ってなかったけど」
そう言うと、秀歌さんが興味心身で僕達に聞いてきた。
「なになに?知り合いなの?」
「はい、幼馴染なんです。葵ちゃんとは」
「先輩、あまり真をいじめないで下さい」
「あ、ごめんごめん。それにしても、葵が他の人を庇うなんてよっぽど大事な相手なんだね」
秀歌さんはとても意地悪な言い方をした。
「それはそうですよ。だって、私達は幼馴染なんですから」
「まあ、それだけとは思わないけど」
「はいはい。もうこの話は終わりです。て言うか真、この部活の活動内容知ってるの?」
「知らない。元々僕はここに入る気なかったし。ちょっとそこにいる学園最強の生徒会長に言われて入っただけで」
そう言うと葵ちゃんは詠歌さんを睨んだ。
「真に何したんですか?」
「別に何もしてないよ。ちょっと協力してもらおうを思ってただけでね。あ、生徒会の時間だ。じゃ、またね」
そう言うと詠歌さんは部室を出て、どこかに消えてしまった。
「……まったく。あの人は。真、この部活は結構危険なの。だから、辞めたいなら辞めてもいいからね」
「あらら、クールなキャラが真君の加入で優しいキャラになってるね」
「確かに。いつもツンしか見てないから新鮮だね」
「葵ちゃん、可愛い」
「まあ、違った味わいね」
「皆、ふざけないで!!」
葵ちゃんは顔を真っ赤にしてそう言った。
「取り敢えず、部活内容を説明するより見て貰った方がいいんじゃない?」
「そうですね。真、私達について来て。絶対にはぐれちゃ駄目だからね」
「あ、うん。分かった」
そう返事をすると、皆は何か陣の上に乗って呪を唱え始めた。
「……真、御守りは持った?」
「うん、持ってるよ」
「それも、無くしちゃ駄目だからね」
そう言い終わった途端、僕達は光に包まれた。
目を開けると、そこは違う世界の様に感じた。それもその筈。目の前は赤と黒しか色がない所だった。
「ここは不界。穢れが集まっている所。ま、今日は何も鳴ってないから訓練だけど」
皆式神を出して部屋に入って行った。
「真は初めてだから私と一緒にやるよ。取り敢えず真の式を出してもらえる?」
「わ、分かった。狐子、出てきて」
そう言うと狐子は煙を帯びて出て来た。
「へー、妖狐なんだ。結構可愛い姿してるけど」
狐子はツーンとしていた。僕以外にはこうなんだろうか。
「じゃ、私も式を出すか。出てきて、律」
葵ちゃんの呼びかけで出て来たのは全て真っ黒な女の子だった。
「この子は律。烏天狗なの。やんちゃだからちょっと危ないかも」
「初めまして、私律って言うの!」
そう言って狐子に手を出した。
「……ふんっ!」
狐子、手ぐらいは握ってあげようよ。と思ってしまう僕であった。
「じゃあ、最初は穢れの浄化法。最初は式に戦ってもらう、攻撃法と自分と式で浄化する方法の2つがあるの。元々、真は霊力も強いし式も強いから攻撃法にしましょうか。基本的に皆は攻撃法でやって行くの。式は1体しか持ってないからね」
「そうなんだ」
僕は葵ちゃんに言われた通りに呪を唱えた。
「ナウマクサンマンダバザラダンカン」
そう唱えると、部屋全体が浄化された。
「す、すごい。こんな事、部長でもできるかどうか」
僕はこの後も葵ちゃんに扱かれていた。
「……疲れた。まじで疲れた」
「あはは。葵のスパルタ教育についてこれるなんて真君は本当にすごいんだね」
僕はソファに座ってぐったりとしていた。
この部活きつ過ぎです。
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