13.フリーウェイを下りて、

 フリーウェイを下りて、娘とたまに行く韓国料理の店に行ったのだが、あいにくにも改装のため、閉店していた。


 私は娘に、

「どうする、休みだよ。」と聞くと、


 さっき、強く言いわれたので、少し元気がないのか

「ナンデモ イイ。」と力なく答える。


 「じゃあ、Ybor City に行く?」と聞くと、


 娘は言葉なくうなずいた。


 Ybor City とは、私達が住む街の南にある、古くからのキューバやイタリアからの移民の街で、キューバ革命前までは、ニューオリンズのように栄え、ジャズ、特に昔はラテンジャズで知られた街だ。



 その日は、日曜日なので、車を路上に無料で駐車することができる。週末の金曜や土曜日は、大勢の人でにぎわっているが、さすがに今日は、静かだ。


 「どうする、アイリシュパブ、それとも ピザ、もしくは、イグアナでバァーガー?」と聞くと、


 「Cheeseburger、、、」と答える。


 イグアナというその店は、この辺りのチェーンのバァーレストランで、ステ-キハウスの半額位の値段で、まともなレアのハンバァーガーが食べれる店だ。


 2、30人位の客が物静かに、ステージでアコギ1本で歌ってる女の子の歌を聞いていた。少しハスキーだが、なかなか、よくとおる声をした子だ。


 ウェイトレスにレアのチーズバァーガーとサイドにカントリースタイルのフレンチフライを2つ、自分にはその店の生ビール、娘は、アイスティーを頼む。


 ゆったりとしたシャツに、短く切ったタイトなパンツを着たウェイトレスの女の子は、

「It's not gonna take a much time.」と言ってウィンクをして、僕たちのテーブルを離れる。


 娘は、

「Bitch, アノ ウェイトレス ナンデ アンナニ ムネ ミセルノ?」


 私は、

「男は、女性の肌に弱いからね、彼女たちは肌を見せる事で、チップを少し多く稼いでるんだよ。」


 「Daddy, ジャア、アノ カウンターノ オンナハ? ズット Daddy ヲミテルヨ!」


 「それは、彼女が、男を探してるから。」


 「ジャア、 オトコハ オンナ、オンナハ オトコヲ イツモ ミタリ、サガシタリ シテルノ?」


 「そんな時もあるし、そうじゃない時もあるんじゃない。でも、探してなくても、気に成る人に、めぐり合っちゃう事もあるけど。」


 「ソンナ モン ナノ?」


 「だって、男と女しかいないんだよ。Misa も友達と遊ぶでしょ、もしその友達が、もし Boy だったら? それで、いつもその子と遊びたいとか思ったら?」


 「ソンナ オトコノ トモダチ イナイ。」


 「いずれ現れるよ、その人の事を考えるだけで、胸が苦しくて、なんか甘ずっぱい感じがする人に。それでさ、長く生きていればいるほど、そんな出会いの経験が増えていって、自分の好みのタイプの人が確定していくんだと思う。それは、見かけだけじゃなくて、性格とか、しぐさとか、そんなものの結合みたいな、わかる?」


 「No、ワカラナイ。」


 「いずれ、わかるよ。」


 「Daddy、 ファーストキス イツ?」


 「6歳の時かな? 放課後の学校の靴箱で、マミちゃんだったかな。その次が、11歳、サヨコ。そして、アキ、、、早熟だったんだ。」


 娘は、沈黙で答える。


 私は、

「早熟だったんだ。」とつぶやいた。



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