モハティール守護編

第136話 モハティールというおじいさん。

 俺は緒川二郎先生の話を終えた。

 どうやら、緒川二郎先生のWMA資金の提供が着々に進んでいると俺は読んだからだ。

 後日、ロシアに戻って情報を探ろうと思ったが、今はそれがやめておこうとした。

 そして、これから俺はマリーナと共に羽田空港からマレーシアの首都、クアラルンプールへ行く準備を整えた。

 丁度、緒川先生が羽田空港からクアラルンプールへ向かうチケットを用意されたので、事前に行かせる準備をしていたのだろう。

 政府専用機はないが、皇室専用機があるので当然ながら皇室が事前に発見したと俺は読んでいる。

 それで俺は一安心した。

 そして、これから俺とマリーナはマレーシアに行く準備を整えた。


「なぁ、マリーナ。」


「どうしたんだ。シュタイン殿。何かあった。」


「別に。でもシンガポールはどうしてマレーシアから独立しようしたのだろうかな?」


「さぁ、それは私にもわからない。けど、シンガポール独立の背景にはロックチャイドルド財閥が関与している事は私もわかるけどね。」


「ロックチャイルド財閥か。俺もその財閥は謎が多いから非常に気がかりだが…。」


 俺はロックチャイルド財閥がどういう物なのか考えながらもこれから羽田からクアラルンプールへ向かう準備を整え、これからモハティールさんの事務所に向かい、彼と話そうと思った。


***********


 そして、クアラルンプール国際空港に到着した俺とマリーナはこれからレンタカーを借りてモハティールさんの選挙事務所まで向かった。

 マレーシアの街を見ていると独立したシンガポールに比べ得てそこまで豊かではないが、シンガポール国民よりは確かに幸福感がある。


 シンガポールは新自由主義独裁国家でグローバリストにとっては非常に憧れの国だ。

 故に財界が好まれる国として非常に有名だが、一方で庶民は苦しい生活事情が余儀なくされる。

 因みにシンガポールでは女性同士の同性愛は合法でも男性同士は違法な法律がある。

 恐らく、女性同士は風紀を乱さないが、男性は乱す危険性から禁止していると俺は思う。

 けど、それだけがシンガポール唯一の良心なのかもしれない。


 しかし、シンガポールは明るい北朝鮮と形容されがちだが、個人的に北朝鮮よりシンガポールの方が地獄だと思っている。

 シンガポールがいかに国民を不幸にさせる為の独立だと知ったらマレーシアから独立する事はなかったと俺は思っている。

 そう俺は思いながら、これからモハティールさんの家に直行し、これから彼と話す準備をしようとした。


 彼なら何か聞き出せるとそう俺は思った。


 それからモハティールさんの事務所に到着した俺はこれから彼にこれから緒川次郎先生から話した情報を提供する準備をした。


「おぉ。君がシュタイン君だね。待っていたよ。」


「どうも。モハティール様。俺は緒川二郎先生からWMA資金提供の件について話してきました。」


「ありがとうございます。」


「いえ。モハティール様が国民の為の政治をしてくれるならそ良いと思いますよ。」


「ありがとうございます。」


 俺はモハティールおじい様を見てすごく優しくて庶民の気持ちが理解できる爺さんだと実感した。


 彼なら間違いなく優しくて真のある政治ができるからな。


 人間は性強説と性弱説を唱える人間の方が、芯が強くて立派な人間になれると思う。


 性善説や性悪説をとる人は信じればよい、批判すればよいと主体性がないので必然的に騙されやすい事を俺は既に理解している。


 だから彼は人の弱さ、強さを理解する事が出来る人だからそれを補い、同時に自分から主体性をとる事で非常に大きな意義が取れると感じた。

 モハティールおじい様を見ると政治の研究がなされていて凄く勉強している教養のあるお方だ。


 だから、俺は彼に惹かれる人が多いのは至極当然だった。

 こんな人が国の指導者なら間違いなく平和の為に資金を使ってくれる。

 そう思いながら俺はこれから彼の商談を始めようとした。


「このWMA資金は大統領になってからじゃないと提供できないが、その点は大丈夫ですか?」


「勿論。私は庶民の怒りを知り、これを実行する為に新たらしい政策を務める事が出来るなら光栄だ。」


 俺は彼の優しさを感じ取り、これから彼をマレーシアの大統領になる為の選挙戦術をやろうと思っていた。

 不正選挙の気配を感じながらも俺は連中が行いそうな不正選挙を阻止し、モハティール政権を樹立しようと思った。


 その為に俺達はマレーシアに渡ってきたのだから…。

 政権樹立には本気を出す以外になかった。

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