第119話 鋼の身体を炎で溶かす必要性。

「これで止めだ。ジェイコブ。」


「ほう。この風と俺を仕留められるか?」


「甘いな。これが俺の能力だ。」


 俺は奴を倒すには風の他にマッチで火を付けて俺の風に向かって投げる。

 マッチの火は酸素を栄養とするから、その酸素で相手に向かって攻撃できる。


 同時に鋼は熱に弱いから、鋼の筋肉も熱によって溶かされるのは至極当然だから、クレムリンでやらなかった。


「嘘だろ。何で風の他にマッチで火を付けて攻撃したんだ?」


「当たり前だろ。クレムリンでこれを発動しなかったのは火災になって燃えたらロシアの権限が弱まるに決まっているだろうが。Этот Голвые Ублудокой. Убийцы.貴様はここで終わりだ。」


 俺はこれで奴をここで仕留められると感じた。

 クレムリンの上ならヤバいと感じたが、この空中戦なら比較的問題ないからな。



「そうか。俺の負けだ。だが、ただで負けはさせる訳にはいかない。ここでお前も巻き添えになって死ぬんだ。シュタイン。」


「ふっ。俺を巻き込むはとんだ冗談だな。貴様には何か策があるとでも思うのかい?」


「ほう。俺はお前を巻き込まなくてもある事を教えてやる。お前は能力者になっている以上、FSBの奴隷は確定なんだぞ。」


「FSBの奴隷の方がIWCの奴隷よりよっぽど良いに決まっているだろ。で、それがどうした?」


「契約者になるとどこかの諜報機関の奴隷になってそこに逆らう事が出来なくなる。それを考えないで行動するとどうなるのかお前も後に分かるだろうな。」


「何だと…。それを言いたかっただけなのか。」


 俺は奴の言葉に何か意味深な物を感じ、これが何を意味しているだろうかと感じた。

 俺が何をやろうとしているのか分からないが、能力者には何かしらのリスクが付きまとう事は当然だと感じた。


 そのリスクを避ける事こそ能力者として非常に重要な能力であり対価として十分だと感じた。

 しかし、彼が言って意味は何なのだろうと感じながら奴は燃えながら灰になった。

 そして奴は燃え尽きて消える状況を見て、これで奴は死んだと感じた。

***********

 そして俺はクレムリンに戻ってから緒川二郎とチェノフスキー大統領の様子を見た。


「大丈夫かい。チェノフスキー大統領。緒川二郎先生。」


「あぁ、君のお陰で僕は助かったし、WMA資金は無事に守れたよ。これで天皇陛下に無事に顔を合わせられる。」


「あぁ、俺はお前のお陰で助かった。だから、本当にWMA資金を守れたことは凄く良かった。だからお前に感謝している。」


「ありがとう。チェノフスキー大統領。緒川二郎先生。これで俺は貴様達の理想の世界を実現できるから安心しろ。」


「あぁ、出来るかもな。俺達でIWCの野望を壊してくれればそれで良いかもしれない。」


 IWC崩壊と新機軸の平和は俺達が出来るかもしれないけれど、失敗に終わるかもしれない。


 この意味深な発言を理解した俺はその言葉を心に残しながらも本当にこれでWMA資金を死守する事に成功した事で、俺は一安心できた。

 そして同時にジェイコブが生きていたらこのWMA資金が本格的に狙ってくるだろうと薄々感じてくると少し恐怖を感じ取った。


…奴らがWMA資金を狙う可能性も考慮して行動せねばならないな。奴が生きていたら間違いなくWMAを狙って行動する。


 俺はそう思いながら、これからIWCとの戦いが本格的にはげしくなると予想しながら、本当に危険な戦いになると予測しながら、イラク戦争を阻止させる為の本当の戦いが始まる事は避けられなかった。

 正々堂々の戦いは政治や戦争などの世界では存在せず、同時にそれは綺麗事をいっているだけに過ぎない。


 本当に変えなければならない事をする際には必ず、汚職が付きまとう。

 その証拠に緒川二郎先生も奥陸会事件ででっち上げをしている事を考えると捜査対象を操作できると俺は読んだ。


 ましてや大人の男性が2人以上絡む場合となると、そこにお金を生み出す源泉を作り出す。

 故に大人の男性同士の付き合いは想像以上に金が必要とする。


 勿論、金儲けは悪い事ではないが、悪い金儲けはIWCの連中を見れば一目瞭然だ。

 それ故に、性悪説や性善説に陥らず、本当の意味で戦える人間じゃないとIWCは本格的にここを攻めてくる可能性があると俺は感じた。

 何よりも奴らの目的はWMA資金を奪い、イラク戦争を仕掛ける事は当然だと思うから尚更だ。

 同時に、これからの戦いは本当に厳しい戦いになるのは避けられないと思うと俺は油断してはいけないと感じた。


 寧ろ、これから本当に戦いになると…。

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