第107話 ドロテアの天皇暗殺計画を阻止せよ。

「ドロテア…。何で貴様がこんな場所に来ているんだよ。」


 俺の悪い予感が的中した。


 とうとう、ドロテアがこんな場所まで来て俺や天皇陛下、更に緒川二郎先生の暗殺をIWCが指令しているからだ。


「お兄ちゃん。あんたが、まさか殺人まで手を染めるとは思わなかったよ。あんたの所為でエンデル家は堕落した。」


「堕落した。俺は腐敗して堕落しきったIWCの実態をばらす為にここに来ているだけだ。」


「そう。でも、なんか今のお兄ちゃんはお兄ちゃんじゃないよ。何でこんなテロリストに加担しているの。絶対に…、許さない。」


 俺は奴の雰囲気を見て絶対にここは負けられないと感じた。

*********

 その頃、私達も皇居の前に入ろうとした時…、


「おやおや、君達がこんな場所で何をしているんだ。それものうのうと皇居に入ろうとして…、」


「トルドー。アンタ達も来ていたんだね。この外道が…、」


 こんな奴らに絶対に負けられないと私達は思った。


 奴らはIWCの手先で天皇を政治利用した確信犯だから…。

 だから、絶対に奴らを倒して、天皇を中心とする日本を作らねばならない。

 天皇を中心とし平和を築かなければ私達の存在意義がないから…。


「カミラ。貴様だけでも皇居の中心部へ突入しろ。」


「了解。」


 私は奴らと闘い、天皇陛下の気持ちを想う、緒川二郎先生の為に絶対にトルドーなどのIWC連中には負けられなかった。

**********

「ドロテア。まさか貴様は、天皇陛下殺害計画を企てているのかよ?」


「そう。アンタがいなければ私達はアメリカの為の世界統治が出来ると思っているから…。そして天皇陛下を殺してアメリカの日本、中国統治を実行させるよ。」


「やはり、貴様は天皇陛下をゴミとしてか思っていないクズな妹だな。だから、貴様は妹だけど嫌いなんだよ。」


 俺の妹はIWCに忠誠するだけの本格的なクズだ。


 だから、IWCという金で転ぶ組織に簡単に忠誠してしまう。

 そんな事、俺はとっくに知っているから、嫌いなんだよ。

 故に緒川先生や天皇陛下を我が妹の魔の手から守ろうとした。


「ドロテア。貴様の能力は知っているぞ。ある言葉を語った相手の身体と入れ替えて情報を奪う能力だとな。」


「そう。お兄ちゃんはとっくに知っているんだね。その通り、私の能力は相手の身体と入れ替えて情報で有利にする能力だよ。」


 やはり、我が妹は非常に危険な能力を持っている事を俺は既に分かった。

 他人の身体を入れ替えて、情報を奪う戦術はIWCが彼女を慕う理由になるだろう。

 そして男が我が妹の身体と入れ替えれば、男は妹の身体を調べるから、無自覚の内に相手から情報を奪える。

 俺は、この能力が非常に危険だとわかっているせいか、絶対にある言葉は避けたかった。


 その言葉は…、


《お兄ちゃん》


 だ…。


《お兄ちゃん》といえば彼女は能力の発動条件を満たした事になり、言った相手の身体と入れ替える事が出来る。

 彼女はそうして敵から情報を次々と奪い、IWCが戦争をより効率よく実行させる憲兵部隊として配属するのは至極当然だから指名手配されている。

 だから彼女は絶対に野放しにしてはならないと俺は感じた。


 彼女を野放しにすれば間違いなく俺は殺される。

 ただ、殺されるのでなく彼女が入れ替えた身体を自害して、身体の入れ替えを阻止させる事まで彼女はしてくる。

 だから、入れ替わったら俺達は終わりだと思うと凄く恐怖を感じた。

 そして、それの警戒も兼ねて…、


「緒川先生。気をつけろ。」


「あぁ、僕もあの女は凄く危険な臭いがするからな。」


「緒川二郎殿。私がいるから存分に能力を使いたまえ…。」


「天皇陛下殿。ありがとうございます。」


 天皇陛下と緒川二郎先生の連携ぶりは凄く良い。

 それだけ緒川二郎先生は天皇陛下から凄く慕われていると俺は思ったからだ。

 だから、ここで絶対に我が妹を倒して、皇室を守らねばならない使命を持った。


 絶対に、皇室と緒川先生を守って見せる。


 渡部真三わたべ しんぞうは既に死んだから絶対に俺達の勝機はあると読みながら、これから我が妹を倒す戦いが始まった。

 そして、我が妹のドロテアから天皇陛下や緒川先生の身体を奪われないように口で言わずに何かしら伝ねばならなかった。

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