第103話 緒川二郎の道徳論。 Из Рейдов усадьбой.

 俺は緒川先生から様々な話を聞いて権力の怖さ、アメリカ追従の要因、官僚たちが何故、改革者を恐れる理由が次第にはっきりしてきた。

 だからこそ、彼から次第に次の話を持ってゆきたかった。


「緒川先生。渡部真三のアメリカ追従ぶりは非常に酷いと思うか?」


「あぁ、酷いとも…。ワタベミクスによって国民の格差を広げただけでなく、アメリカや欧州への追従があれで酷くなった。最も、興和会だけでなく共和党などの左派政党も欧州の価値観が重要だと言って欧米の負の面を暴かない。それはそれで危険ではないだろうかと僕は思うよ。」


「なる程。だからこそ、俺はアメリカや欧州主導の戦争を終わらせてロシアやイランの秩序。通称『Росское и Ираниское на Новый Мировой Порядок.』を作れば真の平和が訪れる訳だな。」


「そうだよ。その為には君は典紀さんからメッセンジャー博士から典紀さんを経由して様々な情報が来たからそれを理解できるだろう。」


「あぁ、出来るさ。彼が俺に対して重要な情報を届けたからここにいる。だからこそIWCの仲間である渡部真三を退陣させる為に、様々な考察が必要だろうな。」


 俺は奴らが非常に危険な存在だと察知しながら、彼の信念がここまで強さははかり知る事が出来た。


「とにかく、俺達の任務は貴様を守りながら渡部真三の暗殺をする事だな。」


「その任務なら暗殺せずとお大丈夫だ。大量逮捕して、横浜拘置所に送り込めば大丈夫だぞ。」


「あぁ、俺がやるべきことは渡部真三わたべ しんぞうを逮捕させるタイミングをいかに出させるかだけだろ。」


「その通りだ。既に名古屋地検特捜部が渡部真三わたべ しんぞうを逮捕する準備を始めている。名古屋市の高村たかむら市長と愛知県知事の古村こむら知事が既に準備を始めている事から後は、貴様達が如何に彼を仕留めさせるかが大事になる。但し。彼は契約能力を使用してくるから気をつけろ。」


「了解。」


「それで奴の家は…、何処だ?」


「渋谷区富ヶ谷とみがや南部にある神泉しんせん駅だよ。当然、神泉しんせん駅から非常に近い場所に位置しているから僕がそれに協力しよう。」


「あぁ、シュタイン。君にその任務を任せたぞ。」


「了解。」


 俺は彼の信念と道徳的モラルが凄くある人だと思うと凄く安心した。

 そして、渡部真三わたべ しんぞうはどういう能力者なのか凄く解らなかったが、場所が渋谷区富ヶ谷とみがやにあると分かった以上、そこからどうやって攻めるのか考えながら、暫くここにいる事にした。


「シュタイン。渡部真三わたべ しんぞうの場所は何処だ。」


「マリーナ。緒川先生の言う通り、渋谷区富ヶ谷とみがや南部にあるマンションだ。」


「分かった。それで、緒川先生殿。貴様はどんな契約能力を持っているんだ。」


「僕は、天皇から授けられた能力者で僕の理想を実現する能力だ。対価は当然、皇室に対する忠誠心だ。」


「了解。それが事実なら俺は安心した。」


「どうして何だ?」


「実は俺は典紀さんから貴様に重要な話を聞いて、渡部真三わたべ しんぞうが皇室を重んじない姿勢に非常に危惧しておられた。」


「そうか。あの典紀君が凄く皇室を守る為に君達をここに派遣したんだ。」


「その通りだ。俺もモスクワから典紀さんの指令でここまで来たんだから、これで終わらせたいんだよ。」


「君の意見は分かるな。僕は豊中昭栄とよなか しょうえい師匠によって必要な場所に金を回し、庶民を助ける事を教わったな。」


「そうなんだ…。」


 俺はその話を聞くと日本史の話で織田信長と北条早雲の件を連想した。

 早雲や信長は庶民の為に必要な場所に金を回し、庶民を救済させる王道を行った。


 一方、明治維新の長州藩や徳田家はその対極の覇道で押さえつけた事から俺はその件について考えなければならないと思うと、信長や早雲が慕われたのは庶民を救済し、必要な場所に金を回した事が非常に大きいのだなと非常に痛感した。


 だから、決して奴らのやる事は一切、評価しなかった。

 奴らの政治をそのままやれば庶民が苦しむから、絶対にそれだけは阻止したかった。

 そう、思いながら、俺は緒川先生の話を引き続き聞く事にした、

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