第93話 租税回避地は何処なのか教えろ。

 俺は能力者に烙印された『破滅の烙印』の恐怖を知り、更に軍需産業は租税回避地タックスヘイブンに多く集まる事を改めて知り、世界の構造が確認できた。


 つまり軍需産業程、税金の低い地域を重点に置いている事がここでも分かる。

 となると、これからФСБを介して租税回避地タックスヘイブンの情報を調べる必要があると感じた。

**********

 だから俺はモスクワ都心部の中央にあるФСБ本部へ向かった。


「おはようございます。ところでФСБから租税回避地タックスヘイブンの情報を調べる事が出来ないか?」


 俺は答える事が出来ない状況下でもここで得られる情報は極力得ようと思った。


 何故なら租税回避地タックスヘイブンは俺が知っている時点で二か所ある。


…1つはアメリカのデラウェア州。


…もう1つはドイツのバイエルン州。


 その2か所を除いた租税回避地タックスヘイブンの情報を俺は探し当てる為にこれから彼らから他の租税回避地タックスヘイブンの情報を聞こうとした。


「シュタイン。どうやらデラウェア州とバイエルン州は貴様の言う通り、租税回避地タックスヘイブンで特に軍需産業がそこを中心に使っていた。」


 やはりか、そこを中心に使って軍需産業は税金を低くさせる為、その地で登録しているペーパー企業が存在したのは本当の様だな。


「それで他の租税回避地タックスヘイブンの情報はどこか教えてくれないか?」


「あぁ、貴様が金で転ぶような奴じゃないから素直に話しても良い。ただ、『カラプソフミーラ』の仲間でも典紀さん以外には租税回避地タックスヘイブンの情報を漏らさないで欲しい。」


「了解。」


 当然だ。


 典紀さんはそれなりに信頼されているからまだしも、他の面子が俺が最初であったカナダから亡命したと思われるトルドーの件があったから彼らが『カラプソフミーラ』だからと言って信頼しないのは大体、想像できる。


 だから、俺は他の面子には租税回避地タックスヘイブンの情報を教えるのは控えながら、これから租税回避地タックスヘイブンの情報を教えてもらう事にした。


「では、租税回避地タックスヘイブンの情報を教えるから一度だけだから注意して聞きな。」


「勿論、それは口外する為じゃないからな。」


 俺はこれから租税回避地タックスヘイブンの情報を教えてもらう事を前提に一度だけの情報を話そうと思った。


「では行くぞ。」


「あぁ。」


「まずは、ハワイ。その次に英国のマンチェスター。シンガポール、香港、澳門まかお、そしてルクセンブルク、スイス、モナコの8つだ。」


「確か、共通するのはいずれも英国領だった国が大部分をしているような気がするが…。」


「そうだ。いずれも英国領だった国が大部分を占めるのは当然だ。」


「つまり、租税回避地タックスヘイブンは意図的に作られたものだと…。」


「その通りだ。租税回避地タックスヘイブンは英国領だった場所にそういった場所が多くめぐらされている。」


「と言う事は租税回避地タックスヘイブンの多くが、英国領だった場所に点在している事は本当だな。」


「勿論、英国領だった場所に租税回避地タックスヘイブンが共通点だ。そして英国領でなくてもフランス領、そして欧州の小国も租税回避地タックスヘイブンの典型といえるだろう。」


「つまり英仏領だった国に租税回避地タックスヘイブンが多い事は間違いないな。」


「その通りだ。くれぐれも典紀さん以外の人間には口にするなよ。」


「了解。」


 俺は租税回避地タックスヘイブンの情報を教えてくれた人に感謝しながら、これから租税回避地タックスヘイブンの情報を典紀さんに教えようと思った。

 勿論、それが上手くいくとは言えんがな。


「ありがとう。ФСБの皆さん。」


 俺は彼らに感謝して典紀さんに情報を提供する事にした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る