ブラックガヴァメント(暗黒国家)

第92話 Брединг смерти. (死の烙印)。

　あの事件からモスクワに戻った俺は精密検査を受ける羽目になった。

「大丈夫かい?シュタイン。」

「俺は大丈夫なのか…?」

　俺は意識が朦朧（もうろう）とする中、俺がモスクワに戻った後の記憶が一切なかった。

「シュタイン。君はモスクワに戻ってきてから急激に倒れたが大丈夫か?」

「分からん。だが、君が倒れてからマリーナやカミラ、そして典紀さんが凄く心配していたぞ。」

「そっか…。」

　俺はバイエルンで急激に倒れた影響からかモスクワに戻ってきてから意識がない事を始めて知った。

「で、俺の左胸に烙印されているのは能力者なら必ず付く『破滅の烙印』なのか?」

「あぁ、そうだ。君の左胸には破滅の烙印が発動した。今後、契約違反を起こせば起こす旅にその刻は着々と進み、24の刻になれば君の魂は悪魔の餌となり、死に至るから気をつけろ。」

　悪魔の餌…。

　24の刻…。

　俺は、それらのキーワードが気になりながらも、もしそれが事実なら、俺は後23回の契約違反で死んでしまう事になる。

　俺はこれ以上の契約違反が命取りになると思いながら、イラク戦争阻止までは違反できないと感じた。

「なぁ、ゲオルグ…。」

「どうした?シュタイン。お前らしくないぞ…。」

　あぁ…、

　確かに俺は能力者の対価を体験した以上、俺はこれから警戒する事は幾つかあると感じた。

　まず、1回でも違反した場合、時々、は『破滅の烙印』の影響で心臓発作が定期的に来る。

　この心臓発作は違反した能力者への対価であり、違反した回数が多くなればなる程、それが強まってくる。

　だから、24の刻にならなければ良い訳ではない。

　寧ろ、回数が増えれば増えるほど、心臓発作の回数は増えるし、1回における発作時間も長くなる。

　だから、俺はこれから心臓発作を避ける為に契約違反だけは避けなければならないと思った。

「ゲオルグ。俺はこれから定期的な心臓発作が来るんだろうな。」

「あぁ、『破滅の烙印』の影響で今後、定期的に心臓発作が起き、違反すればするほど、回数も増えてくる。だから、後23回犯すのでなく、これ以上犯すと酷くなり、23回犯すと君は死んでしまう。そして魂は悪魔の餌になるから気をつけろ。」

「魂が悪魔の餌というのはどういう事だ?」

「能力者になった人間の魂は天国や地獄にはいかれない。極楽浄土にも仏にもなれないから悪魔の餌となって生涯を終えるのだ。」

　俺は能力者の対価がこんなにも恐ろしいと思い、これが事実なら間違いなく俺の命は悪魔の管理下に置かれる事になる。

　だからこそ俺は、これ以上、契約違反を犯す訳にはいかなかった。

　何よりも死ぬなら、イラク戦争を阻止してから死んだ方が良い。

　だから俺は、これからの戦いには知恵を使う事が何よりも大事になると感じた。

「シュタイン。アンタの体調が無事に回復してきたから、これから私も租税回避地（タックスヘイブン）の場所を語るから…。」

「あぁ、デラウェア州とバイエルンは知っているから、他の場所を語ってもらいたい。」

「そうだな。デラウェア州やバイエルン州は既にアンタは知っているからな。」

　俺はマリーナから租税回避地（タックスヘイブン）の情報を探る事を前提に俺自身の事を彼女に語ろうと思った。

　租税回避地（タックスヘイブン）には軍産企業が非常に多く、集中している。

　そういった軍需産業の拠点に租税回避地（タックスヘイブン）が多く、仲間内で行われている事を俺は当の昔に知っていた。

　だからこそ、軍産複合体を俺は倒さなければならなかった。