第89話 弱みを逆手に強さを出す。


 これは俺が昔、どこかで得たことわざだ。

 知恵と情報を上手く利用できる者だけが幸福や勝利を得られることわざだと俺は知っていた。


 つまり、相手の弱みに関して上手く利用しながら相手の不安にさせる情報、相手の負の面を出して自分達が優れていると思わせる情報は特に情報戦の世界では有利な方式だ。

 アメリカでは自国を賛美すると同時に敵対国の悪い面を出す事でIWCやアメリカ政府の有利な方向へ導いた事を知っている俺なら解る。


 それ故に、俺は情報戦を制する事を決して忘れずにユンケラ首相がどうして、俺達の組織『カラプソフミーラ』の悪口を言ってくるのかはっきりしてきた。

 情報は常に人によって書き換えられ得ている。

 つまりその書き換えがあるからこそ、100%や絶対という言葉には要警戒する必要がある事はしっていた。


 中でも国際機関の特権言語化している

 何故なら、英米仏の覇権言語であると同時に国際機関の事実上の公用語だからだ。


 つまり、それを逆手に取れば英語やフランス語情報の翻訳のみだとそちらの情報しか得られなくなる。

 そうする事で世界をそちらの方向へ誘導する事が可能となり世界征服も容易になる。


 だからこそ中国語、ロシア語、ペルシア語など、アメリカと対立している情報の言語は非常に必要なのはその為なのだ。

 実際、モスクワ国会図書館では人民日報やプレス新聞など、様々な言語が保存されている。

 つまり多くの情報を得る事で重要な情報を得られると確信しているからだ。

 これを応用して、俺は人民日報やプレス新聞等を読んで欧米にとって不都合な情報を得てきた。


 だから…、


「ユンケラ。確かに『カラプソフミーラ』はそんなに綺麗な組織ではない事は事実だろう。だが、貴様達だって不都合な情報を漏らす事で常に有利にしてきたのは事実ではないか。」


「ふっ。そうだね。シュタイン君。君の言う通り私はアメリカの手先で9・11自作自演テロを仕掛けてきたのは事実よ。でも、それを知った以上、生きて帰って来れるとは思わないでよ。」


 やばい。俺はあの様子をみて尋常ではない威圧感を感じた。

 確かに彼女は女性だが、その風貌はまるで名誉男性だ。

 そして彼女は何か危ない能力を持っていると俺は感じた。


「さぁ、苦しみなさない。シュタイン君。」


 目を合わせてはならぬ。

 合わせたら恐らく能力に引っかかってしまうからだ。

 だからこそ、俺は目を閉じて、彼女のいる方向に攻撃した。


「どどーん。」


 これで奴を殺す事が出来たな。


「何を言っているんだ。シュタインくん。私は後ろにいるよ。」


…嘘。奴が殺せていない。どうして俺が奴を殺せていないのか分からなかった。


 そして俺が目を開けたら彼女とゲオルグはいなかった。


「シュタイン。奴は俺に任せる。貴様は、ここにあるバイエルン関連の資料を奪うんだ。」


「了解。ありがとうな。ゲオルグ。」


 俺はユンケラ首相の戦いはゲオルグに任せながらとにかく資料を集める事に没頭した。

************

「ユンケラ首相おばさん。君はアメリカの為に戦う事で有名なのは知っているよ。だからアメリカの戦争に支援するだろうが。」


「ほう。私が幻術遣いで本当に近い嘘を付けば能力が上がる事を知っているのか?」


「そうだよ。アンタは嘘を付いているが、俺は今、自作した専用ゴーグルをつけて幻術を防いでいるんだよ。」


「何。専用ゴーグルで幻術を防いでいるんだと。」


 ユンケラおばさん。

 君は幻術を封じれば負ける事を忘れるなよ。


 つまり、このおばさんは幻術を封じれば十分に勝機があると俺は理解した。

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