第82話 Городи Для Конпанить. (企業の為の町。)

 ここが、ドイツ一の企業の為の町であるバイエルンか…。

 企業城下町であるバイエルンは微妙に不気味な雰囲気を醸し出していた。

 ここに住んでいた住民は殆ど存在せず、一部を除き廃墟となった町は一体、誰が壊したのか分からなかった。


「失礼します…。」


「気を付けな、シュタイン。ここは企業城下町なんだから。故に安易に開けると…。」


 パンッ!!


 俺はいきなり銃弾の弾が飛んできた事を知り、その弾は俺の右頬を掠って通過した。


「何だ。今の銃弾は…、」


「ここは企業城下町で、基本的にはシンギュラリティシステムで運営している街なんだよ。故に権力者や企業経営者は極めて安全な街だが、俺達みたいな敵や庶民には非常に嫌な町なんだよ。」


「ゲオルグ。」


 ゲオルグが非常にこの町の嫌な部分を知った俺は、どうして彼がこの町の事情を知っているのだろうかと…。

 確かにアメリカにもデラウェア州という租税回避地タックスヘイブンがある。

 そして俺がそこに投獄された際には非常に嫌な雰囲気だった。

 俺は、アメリカの不都合な実態を暴露した時、俺は完全に死ぬのか思い、恐怖を抱いてしまった。

 しかし、そんな状況だからこそ、俺はアメリカを変えたい気持ちが湧き、9・11のテロ行為の内情を暴露しようと思い、マリーナが出したある契約書に能力者の契約をしてロシアに亡命した。

 だから、俺は9‣11テロがアメリカの自作自演のみならず、欧米諸国で起きたテロ事件は皆、自作自演だと思っているから戦争産業の実態を暴こうと思った。


「なぁ、ゲオルグ。」


「どうした。シュタイン。」


「貴様は、ここ出身だろ。」


「そうだ。僕はこのバイエルン州出身だ。でも、僕の家族は皆、軍需産業によって殺されたんだよ。」


 やっぱり、ゲオルグがドイツの実態を暴く為にロシアに逃げた理由がこのバイエルンにあるのは当然だったか。

 だとすれば俺はこのバイエルン州には戦争産業利権が潜んでいる事は間違いなかった。

*********

 それから、とある高層ビルを見た俺はここに何かあると思っていた。

 明らかに普通の企業ではありえない風格…。


「ゲオルグ。ここにはどんな企業があるんだ。」


「シュタイン。ここには製薬会社バイエルンが入居している。製薬会社は軍需産業と密接が深いから製薬会社と軍需産業の双方で殺人兵器を開発している。僕は、その実態を知ったため、典紀さんやジョンソンさんにバイエルンの労働実態や企業犯罪について暴露したんだ。」


 ゲオルグの表情は震えている。

 恐らく、このバイエルンを始めとした製薬会社は軍需産業と密接に関わりが深い関係にある事を俺は知っている。

 しかし、ユンケラ首相はこのバイエルンにいる事は間違いないと思い、これから扉を開く事にした。


「ゲオルグ。裏口から入れるか?」


「あぁ、俺も裏口から入らないと殺されるからな。」


 恐らくバイエルンは多国籍ブラック企業だと俺は実感した。

 バイエルンはアメリカのGMO作物企業モノサンズと関係が深く、農薬開発に関しても関連が深い企業だと俺は読んだ。

 だから、ここからは背後にも気を付けないと逆に俺達が殺されると肌で感じた。

 故にここは、慎重に動くしかなかった。

 しかし、軍需産業、多国籍企業、製薬会社の3重利権がどうして中東の戦争利権に関与しているのか俺は凄く知りたかった。

 この利権が恐らくアメリカや世界の闇だとしたら俺は何かあると感じた。

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