第81話 К Говорите Байелн. (ようこそ。バイエルンへ~。)

 それからベルリンからバイエルンに到着した俺達はベルリンとは一転して企業城下町である事に驚いた。


「ここがバイエルンか。」


「そうだ。ここがドイツ南部にある都市、バイエルンだ。ここは欧州連合の大手ブラック多国籍グローバル企業が多く集まり、租税回避地タックスヘブンにもなっている都市何だよ。ここにユンケラ首相が逃げたのも租税回避地である事が理由だ。」


 租税回避地タックスヘイブン、世界に数か所ある税率が非常に低い土地だ。

 アメリカでもデラウェア、中国では香港、ルクセンブルク、シンガポールなどが租税回避地タックスヘイブンになっているが、ここドイツ南部の都市、バイエルンも又、租税回避地タックスヘイブンとして非常に有名な場所だ。

 何故なら、バイエルンという製薬会社やモンサントといったGMO作物、更にはフォルクスワーゲンなどもここを本拠地として置いている。

 なので、欧州の多国籍グローバル企業が多く集まるのは必然的なのは当然だ。

 となるとユンケラ首相もここにいるなら誰もいない場所に逃げている可能性があると言えるから、気を抜かずに細心の注意を払うしか方法がないと俺は感じた。


「ゲオルグ。それでユンケラ首相は何処にいるんだろうか。」


「どこにいるのか僕も分からない。だが、こういった租税回避地タックスヘイブンの多くは格差が他の都市より酷く、企業や権力者にとって非常に有利な法律を適用されている事が非常に多いのは君も知っているだろ?」


「つまり、租税回避地タックスヘイブンは新自由主義や弱肉強食を徹底させた社会って事なのか?」


「その通りだ。僕もドイツの分散都市の中に租税回避地タックスヘイブンとなっている場所が幾つかあると調べていた。その1つがバイエルンにある事は僕も知っていたから典紀さんにその事を話して『カラプソフミーラ』に入隊する要因を作ったんだ。」


「へぇ~。」


…でも、何でゲオルグはそこまでドイツの租税回避地タックスヘイブンの情勢を知っているんだ?俺の場合、IWCに所属していた時代でさえも妹であるドロテアには伝えられた。だが俺には一切、デラウェアの件をIWCは教えてくれなかった。

 何だろう。デラウェア州は租税回避地タックスヘイブンの所為か、アメリカの他州よりも異様な雰囲気があるのは確かだった。

 丁度、投獄された刑務所もデラウェア州にあったが、そこでは内部告発者の多くがこの州に投獄されていた。

 俺は、デラウェア州にある租税回避地タックスヘイブンとバイエルンにある租税回避地タックスヘイブンは妙に雰囲気似ていると思ったせいか、それが不気味さを感じる要因になった。


「シュタイン。どうしたんだ?」


「ゲオルグ。バイエルンが租税回避地なら俺達は入っては行けない場所に入ったかもしれない。」


「どういう事だ。」


「こういう租税回避地タックスヘイブンには企業の私兵や権力者に忖度する警察がいるから俺達は誰もいない場所で監視されているかもな。」


 租税回避地タックスヘイブンって事は、紛れもなく監視カメラが他の地域より多くある事は間違いない。

 だから、監視カメラを見れば俺達の行動が追跡されると感じた。


「おい、ユンケラ首相。女性だからといって貴様は容赦しないぞ。何故なら、一国の首相がこんな場所で潜んでいるなんてなんて、何んとも凄く見っともない行為をしているんだ?貴様は、ビビりなのか?それとも犯罪行為を隠蔽したいのか?笑わせるぜ。」


 俺は監視カメラに向かって連中がビビりなのか将又、自身が捕まるとヤバいと思っているのかと思いながら、監視カメラに向かって忠告した。

 当然、出てこないとは言わないだろうな。

 出てこないと、俺の空気ドリルで貴様の心臓を打ち抜くからな。

 それだけは覚悟しろよ。ユンケラ首相共が…。

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