第73話 フランスでの事情。
「典紀さん。ただいま。」
「お帰り。カミラと共に無事だったな。シュタイン。」
「あぁ、勿論だ。当然、典紀さんもフランスの情報を既に知っているだろ。」
「えぇ、俺の能力でお前の目とシンクロさせて情報を聞き出した。」
ふっ、盗聴とはなかなかやるじぇねぇか。典紀。
だが、俺はそれでも悪くない。
既にアメリカがインターネットなどで盗聴を行っている以上、俺はそれを恐れる必要性などないと知っている。
典紀さんの盗聴はアメリカの盗聴に比べれば全然、可愛いもんだ。
だから俺は、典紀さんが事情を知っていると思い、あえてフランスの事情を話さなかった。
「典紀さん。俺を介してエリーゼ宮を見ただろ。なら、貴様がそれを話せば良い。」
「当然。俺の能力でお前を介してフランスの情報を得たからな。」
なかなか、やるな。
典紀さんが俺を介して盗聴していると皆に公開されても俺は別に動じない。
寧ろ、他の連中を説得させる必要があると感じた。
「典紀。アンタは私の情報も盗み取れるの?」
「あぁ、そうだ。俺は対象の相手なら目を入れ替えて情報を変える事が出来る。」
「何で、それをするの?」
あまりにもカミラが冷静さを失っていたので俺は彼女を説得させる為にある行動に出た。
「カミラ。貴様には何を言わずに済まないな。」
「シュタイン。」
「俺はフランスに行く際に典紀さんの能力であの人と俺の左目を入れ替えていたんだ。」
「つまり、事前に知っていた。」
「あぁ、でもそうしないとフランスの情報を得られなくなる恐れがあったから。済まない。カミラ。」
「シュタイン。アンタは人に重要なことを言わない癖があるけど、それで良いの?」
俺がカミラに重要なことを言わなかったのは非常に悪いと思う。
だが、それは重要な情報を口外すると誰かに盗まれる事を知っていたから典紀さんの能力で変えただけだった。
「カミラ。ごめんな。これからシュタインがエリーゼ宮から得た情報を話すから。」
「ごめん。重要なことは身内でもいえないんだね。典紀。」
カミラと俺・典紀さんと言い合いになったが、こうして少しずつ光が見えつつあると俺は感じた。
*******
「では、シュタインからエリーゼ宮から得た情報をこのノートで提示する。見てくれたまえ。」
「俺は知っている。だからカミラ。マリーナ。そしてゲオルグ。貴様達で見てくれ。」
俺は情報を既に得ていたので彼らにエリーゼ宮を纏わる文章を見せ、俺は典紀さんにある資料を提供した。
「典紀さん。これがフランスのエリーゼ宮から得た。ゾンビ難民とイラク戦争計画などの資料だ。」
「ありがとう。シュタイン。」
俺は他の皆が例の資料を読んでいるうちに、典紀さんにエリーゼ宮から得た最重要書類を提出する事にした。
「シュタイン。パンテオン大学の難民ゾンビ事件の犯人を殺してくれてありがとうな。」
「当然だ。でも、殺しは正義ではない。だから貴様もその報いがイラク戦争計画を阻止するまでは来ないように祈るようにしてくれな。」
「ありがとう。シュタイン。」
マリーナがパンテオン大学襲撃事件の犯人を仕留めた事で俺に感謝してくれてよかった。
ともあれ、これからイラク戦争計画を阻止する為にかなり厳しい戦いになる事は変わりない。
だから、俺はその報いが来ないように動くしかないと感じた。
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