第72話 Световая Магия. (光魔法)

「私は治療能力が主流だ。だが、その能力から光魔法を編み出す事が出来る。その能力を発動するには相手の傷を心身全体で癒す事だよ。」


 カミラ。貴様の怒りは凄く俺にも伝わってくる。

 それは、彼女がキューバからアメリカに亡命した棄民に対して怒りを隠せなくなっているからだろう。

 だから、彼女の怒りが奴らを倒せる要因になるのではないかと思い、俺は暫く攻撃する事を控えた。


「お前、どうしてそこまで俺に対して起こるんだよ。」


「アンタ。私の母国のキューバがどれだけ、アメリカに亡命して辛い思いをしている事を理解できないんだ。そんな辛さを理解できないアンタは絶対に許さない。」


 俺は、カミラが本気で能力を発動するタイミングを構え、これから彼女がミハイルを確実に死止められるかが重要になると感じていた。


「行くぞ。」


「俺はアンタ達、『カラプソフミーラ』等に決して負けないぞ。」


 俺はカミラとミハイルが本気を出している様子を見ると確実にどちらかが死ぬと予測出来た。


「私は相手を思いやり。治療する事で強力な光魔法を生み出せる。」


「へぇ、俺がどんなに鋼の肉体だったとしてもそれを俺に貫通できると思うのか?」


 俺は光魔法でミハイルの鋼の肉体を貫通できるとは到底、思えなかった。

 しかし、カミラの顔を見ると彼女は何かしら秘策を練っている。


「ミハイル。アンタは確かに鋼のように固く、鋼鉄化する能力を持っている。だが、強い光で十分にその鋼鉄は溶けるなら、アンタに勝ち目はないよ。」


 俺はカミラが勝てる余裕を推測したと、恐らく彼女は彼の鋼鉄の肉体を光で溶かすようにミハイルは徐々に溶け始めた。


「ふざけるな。何で俺の身体が解け始めているんだよ。」


「ミハイル。鋼はある程度、高熱になると徐々に溶けてゆく。特にアルミは溶ける温度が非常に低く、熱を持ちやすい。」


「だから何なんだ。」


「だからその鋼の肉体も簡単に溶けたり、折れ曲がるんだよ。クズが…。」


「嘘だろ…。」


「嘘じゃない。」


 カミラは治療から得た能力でミハイルの身体が徐々に曲がり、溶けてゆく様子を見て、俺はあいつが殺しや悪さの末路がこんな簡単に来るとは思わなかった。

 溶けてゆく、ミハイルの肉体。

 折れ曲がる彼の身体を見て俺は彼らを倒すにはかなりの知恵と戦略が必要なのだと感じた。

 そして、彼の身体だけ溶ける技をカミラが効率よく攻撃する様子を見ると俺は奴らを殺すにはただ単に感情で動いてはならないと感じた。


「うわぁぁぁぁぁぁぁ。何で俺がこんな奴に殺されてしまうんだよ…。俺はまだ死にたくない。」


 俺はミハイルが死んでいく様子を目の当たりにし、彼の末路がこんなにも惨めでろくでもない死に方をすると感じた俺は今日を持ち得ながらもこれで終わったんだと感じた。


「シュタイン。」


「カミラ。貴様は、無事なのか。」


「あぁ、無事だ。私はアンタを治療すればいつでも光魔法を使えるからな。」


「あぁ、そうだな。」


 カミラが『カラプソフミーラ』入隊時よりも成長した様子を見て俺は少しだけ安心した。

 そしてフランスが無政府状態になった以上、俺はシャルル・ドゴール空港からシェレメーチェボ空港に移動し、典紀さんからの情報を含め、フランスやIWCの事情を話す事にした。

 ここで死ぬ訳には行けないから。

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