第71話 カミラの開花。
「何を言っているんだ。貴様は…。貴様達IWCのお陰でどれだけの民が苦しみ、ひどい目に遭ったのか分かるか?」
俺はミハイルという男がどれだけ危なく野心の強い男なのか解ってきた。
だからマクシムを利用して同性婚を合法化し、新自由主義、戦争利権などを進めてきたわけか。
なんていう酷い奴だ。
「カミラ。あやつを絶対に倒そうな。」
「当然だ。私もこの男の行動は異常だからな。何で仲間を見殺しにしてでもこんなことが平気で出来るの?アンタは本当にイカれているよ!!」
俺はカミラがミハイルという男の行動にここまで怒りと憎しみを抱いているとは思わなかった。
どうしてそこまでしてカミラがミハイルに対し、怒りを前面に出しているのか?
俺はキューバからロシアに渡った際、あの話を思い出した。
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「シュタイン君。私はキューバに出て行った連中が嫌いなの?」
俺はその言葉を聞いてキューバに言ったアメリカ人の話を思い出した。
医療が優れ、アメリカよりも平等な環境だったキューバは経済的に苦しくてもチャンスはいくらでもある事を俺は知っていた。
一方、アメリカは一部の富裕層には豊かだったが、大分の国民は苦しい上に医療や学費で破産するなど、非常に苦しい社会なのはご承知の通りだった。
当然、カミラはアメリカ社会の実態について知っているだろう。
だからこそ、キューバからアメリカに亡命した人間を凄く嫌っていたんだと感じた。
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「カミラ。貴様が、あの男を嫌っているのは、キューバの事があったからか?」
「そうよ。シュタイン君。私はアンタのことが好きで無事に帰ってくれればよかった。」
「そうか。カミラ。俺はエリーゼ宮を確かに壊した。だから、その報いがくるのは避けられない。」
「シュタイン君。ウッ。ありがとう。」
俺とカミラがこんなに絆が深く互いにIWCを潰したい思惑が一致している最中、俺とカミラが出来る事はやろうと感じた。
「シュタイン君。ありがとう。」
「カミラ…。」
俺はこの感情の暖かさとカミラの思いやりを感じ、あいつなら大丈夫だと思った。
「アンタ。IWCの命令とは言え、よく難民兵器の開発。エリーゼ宮を破壊しても平然と笑っていられるよね。それって、人の悲しみを理解出来ない屑の証拠じゃないの?」
「ふっ。よくぞ言ってくれた。俺は確かにクズだ。マクシムに難民兵器などを押し付け、最終的にはあいつが殺しても良いとさえ、思った。どうだ。お前達の仲間であるマリーナを同じようにしたかったのにな。」
「アンタ…。何を言っているんだ?」
性格や言動が豹変したミカエルを見た俺は、こんな奴がフランスを支配していたとなると何で悍ましく、恐怖政治が蔓延りやすいか理解してきた。
「アンタ。よくも、こんなことをしたわね。私はシュタイン君やマリーナの絆を使って貴様をしばいてやる。」
その時、俺はカミラの表情を見て能力発動の状態だと判断した。
「アンタ、多くの民を酷い目に遭わせたなら私の
俺はカミラの治療魔法が専念だと思っていたが、こんな攻撃魔法が使えると思わなかった。
同時にこの魔法は身体・心双方の傷を癒すと使える魔術だと実感した。
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