第65話 無法国家フランス。

「君がIWCから情報を漏らして死刑になったシュタイン君か。なら君は我が英米仏有志連合軍が主導するイラク戦争の情報をロシアに漏らしたのだな。」


「それがどうしたんだ。俺は、貴様みたいなゲイ疑惑を隠しておばさんと結婚するなんて卑怯者なんだよ。」


 俺はこの男が凄く嫌いだ。

 恐らく、奴がゾンビ難民事件の主犯だと思われる。

 何故なら、IWCを始めとした英米仏支配者層はゾンビ難民を利用して人口減少促進、イラク戦争での生物兵器投入を前提に欧州の国民をゾンビ難民で攻撃しているからだ。

 俺は奴がそれの主犯なら、凄く憎い存在にしかならなかった。


「貴様みたいなクズがゾンビ難民を擁護しているなら、欧州の多くの人間を犠牲にしても良いか?」


「ふふっ。君は、自分の妹がIWCに中世されている事を凄く嫌がっているようだな。だが、君の妹、即ちドロテアは凄く、西側に忠誠してくれてありがたいんだよ。君と違って…。」


 俺は西側連中が仕掛ける事は恐らくディストピアに向かう世界になると警戒した。

 イラクの件でも俺たちが止めなければ恐らく、ドロテアがアビーム大統領の暗殺を確実に成功させた事から俺は決して気を抜かなかった。


「ふっ。貴様は何故、ゾンビ難民をパンテオン大学の女子大生を襲撃したのか理由を聞かせろよ。」


「馬鹿。君に僕や西側の計画を渡したらそれこそ僕たちは終わるから、一切教えないぞ。」


「当然そうだよな。でも、ドロテアが貴様みたいな連中を媚びているなら俺は妹を殺してでも救って見せる。それが例え、間違った世界観でもな。Что это убийцы.」


 俺はこの言葉を発現する事で能力が発動条件を満たし、奴を攻撃した。


「ほう、ロシア語やドイツ語などの中二病言葉を語る事で貴様は能力を発動するのか?」


 やべぇ、俺の発動条件が奴に読み取られてしまった。


「行っておくが、ここはフランスのエリーゼ宮。フランス語と英語以外で喋る奴は大抵、敵国とみなから君をここで処罰する。」


 やっぺり、奴は本気で逃さないようだな、なら俺もここで奴を仕留めて見せる。


「ふざけんなよ。貴様みたいな西側の諜報員スパイが多くの人間を殺し、不幸にさせたんだよ。А ты этот голубой.」


 俺は奴が凄く憎くて嫌な存在になっているせいか、絶対にマクシムを殺さなければならないと実感した。


「ほう、流石は能力者。発動条件を満たせば、破滅の烙印が動くことなく発動できますな。」


「貴様、破滅の烙印というのはどういう事だ。」


 俺は破滅の烙印がどういうものなのかよく分からなかった。

 だが、彼はそれを知っているかような態度だった。


「破滅の烙印というのは能力者になる際に、左胸、即ち心臓付近に刻印される死の烙印。それが動き始めると発作が起きるんだぜ。」


 何をいっているんだ。この男は…。

 この男は何を言っているのか分からないながらも俺はヤバい契約をしてしまったかと思うと攻撃が定まらなくなった。


「クソ。攻撃を外した。」


「そりゃ。そうだ。破滅の烙印の話は本物だ。そして戦闘中にこの話を語ったのは君を焦らせて僕にとって有利な戦いになる展開を作る為なんだよ。」


 やはり、奴が俺と闘う為にこの様な話を仕掛けてきたのは俺を焦らせるための手段だとはっきりした。

 つまり、戦いに正当性が存在しないなら、俺は奴を倒すのみだ。

 それがここを抜ける際の唯一の手段だとこの時の俺は思った。

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