第56話 妹の恐怖…。

「俺の妹が、あいつを殺した…?」


「そうだ。シュタイン君。ジョンソンは君の妹に殺されたんだよ。」


 あのジョンソンという男が俺の妹に殺された。

 あり得ない…。

 普通、奴の戦力ならドロテアを殺せなくても、ア奴自身が死ぬはずがない…。


「勿論、嘘だろ…。」


「本当だ。僕が君の妹を追い払った後、僕はジョンソンとドロテアの戦闘現場を見たら大きな穴が開いて…、ジョンソンは亡くなったんだ。」


「そんな、あいつがいなくなったら俺達は我が妹に勝てなくなるだろ…。」


 俺は我が妹がここまでIWCの施行に染まっているとは思わなかった。

 と、同時にIWCにも能力者がいる事がはっきりし、これから奴らと対峙せねばならぬと俺自身の力がどれだけ足りるのか凄く不安でしょうがなかった。

 勿論、ジョンソンが死んで悔しくて悲しいのは俺だけではない…。


「ジョンソン。お前が死んでしまった事は悔しい…。けど、この戦力であいつらを戦えるのか非常に不安だ。」


「そうだな。典紀。私もIWCには相当な能力者が多く、しかも支援組織には国連などの国際機関も名を連ねている。」


 国連がIWCの支援組織だと…。

 つまり、俺達はロシア側の肩入れをしないと能力者の楔を無視しても生き残れない事になる。

 つまり、ロシアの支援がなければ俺達は簡単に殺される事…。

 そして、イラク戦争にはアメリカのみならず、国際機関も関与している事…。

 国際機関は平和と秩序を求めるのでなく戦争と無秩序を求める極悪組織だと俺ははっきりした。

 つまり、国際法も英米仏の為の組織だとはっきりしており、国際機関や国際法なしでは英米仏が世界を支配する事等到底不可能だと思知らせた。

 俺は英米仏が国際機関を支配してまで世界支配するなんて非常に許せなくて…。


「なぁ、マリーナ。俺達は国際機関や国際法を敵に回したよな。」


「あぁ、私らロシア政府は国連の常任理事国でも、英米仏と違ってあまり意見が左右されない。」


「となると、国連は英米仏の支配者が世界支配をする為の組織だから公用語も事実上、英語とフランス語になるわけだな。」


「当然だ。で、シュタイン。その質問をして凄く自身のある顔に変わったよな。」


「あぁ、つまり国連や国際法などは英語とフランス語で構成されている。つまり、英米仏以外は常任理事国として不要だという事だろ。」


「凄い…。シュタイン君。君がそこまでアメリカに対して恨みを持っているのは聞いたが、ここまで英米仏に対して憎しみを持ちつつも彼らを倒す自身がある顔をしているのは凄いよ。」


「そうだよ。シュタイン。私達キューバも英米仏が国を壊そうとしたし、国連の意見は無視されてきた。だから私もシュタイン君と共に協力するから、安心してね。」


 ここにいる皆が国際法や国際機関から敵視されても決して絶望的な顔をしていない。

 寧ろ、彼らは国際法を倒す自身から決してあきらめない姿勢を崩そうとはしなかった。

 だからこそ、俺は彼に尊敬の意を込めて…。


「ありがとう。俺はこれからドロテアを殺して、イラク戦争を絶対に止めたいと思う。だから、本当に済まないな。」


「あぁ、アンタがその意思なら私はそれでいくから…。」


「勿論だ。シュタイン君。」


 マリーナ。ゲオルグ。

 俺は貴様達に褒められるとIWCから抜けてきて良かったと思えたので、感謝したい。

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