第48話 妹の能力。

「ジョンソン。アンタが要っている事は正しい。何故なら、シュタインの妹である奴は、凄く冷酷で危険な目付きをしていたからな。」


 俺は既に知っていた。

 あいつはIWCの為に働き、それに逆らう国に対して非常に冷淡な姿勢をとる事でアメリカ追従国家を増やす事に加担したいたからだ。

 シュタインが妹を嫌う理由はようやく理解できた。

 彼が9・11の情報漏らした事で世界中から敵に回しているのに寧ろ、身内である彼を捕まえる事を喜ぶかのような姿勢はまるで人間味を感じられなかった。

 寧ろ、俺達の誰かから身体を奪って完全に『カラプソフミーラ』の隊員の身体を使って情報を奪おうとする姿勢さえ、感じた。

 俺はアイツの本格的な諜報員スパイの資質があると感じ、恐怖を感じた。


「なぁ、ゲオルグ。お前は、ドロテアを見てどう思った。」


「ジョンソン。お前も既に気付いていたか。あいつはまるで地獄の様な目付きをしていて、俺達をいつでも殺せる準備を整えようとしていた。そして…、」


 俺達の身体を奪おうとする意気込みは既に理解していたが、それだけでない。

 ドロテアは俺達の身体を奪って、見かけは俺達に同化して、ロシアから情報を奪う事でアメリカ支配層の計画を完成させようとする意図が見え隠れする。

 無論、彼女は自分が死にそうな状況になると小型原子爆弾を使用して、自爆行為をする可能性が極めて高いからむやみに攻撃すれば俺達も死ぬ可能性が高い。


「なぁ、ゲオルグ。カミラ、ドロテアと闘う際には気を付けた方が良いかもしれん。」


「その通りだ。あの女には人情味がなく、小型の原子爆弾を所持している事を考えると自分が死にそうな状況になると自爆行為をしてくる可能性が十分ある。」


「そう考えると、私たちがやれることはあいつを追い払う事しかできないかもしれない。」


 自分たちが出来る事は彼女を追い払う事だけ…。

 彼らが悩んでいる最中、アビーム大統領はある事を思いついたので彼らに…、


「ジョンソン。君達に言いたい事がある。言っても良いか…。」


 アビーム大統領。俺に何か言いたい事でもあるのか?


「あぁ、当然だ。俺はお前から話を聞きたい。」


「なら、あの女の行動について話そう。」


 俺はアビーム大統領から彼女に関する話を聞く事で彼女の弱点が得られるのではないかと微かならが期待をした。


「あぁ。なら俺にその事情を話してくれ。」


 俺は彼の言葉に甘んじて彼女の正体について追及しようとした。


 ―――その頃、俺は我が妹の能力が危険だと知っていた為、典紀さんとマリーナに対して説明しようとしていた。


「シュタイン。つまり、体格の良く地位のある男を狙って彼女は情報を奪う事で情報戦に有利にしている訳か。」


「そうだ。そして、俺はあいつは他人の身体を奪い能力があったお陰で自作自演テロを作る事が可能になったんだ。」


「シュタイン。それは本当か?」


 典紀さん、それは当然…、


「勿論、それについては正しい。」


 俺が出来る事は後、チェノフスキー大統領やマリーナの弟であるエリックにこの事情を話す以外に方法がないと感じた。

 我が妹であるドロテアがIWCの最終兵器だとしたら彼女を殺せばIWCの弱体化に大きく繋がる。

 それ故に彼女は自爆テロの厭わない行動に出る可能性は高い。

 俺は、彼女の行動に警戒しながらも彼女を殺す覚悟は確実に必要になると思った。

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