第47話 疑心暗鬼。
俺は我が妹が凄く危ない能力を持っている事を知っている。
あいつが味方らなら頼もしいが敵に回すと簡単に情報を取られたり、追い詰められる恐れが非常にあると俺自身も薄々、気づいているからだ。
ましてや俺は裏切り者、そして『カラプソフミーラ』は裏切った俺が所属する組織でアメリカと敵対するロシア政府管理下の特殊部隊…。
つまり、彼女は俺らを本気で殺しに行くし、金で転ぼうともしない。
だから俺にとっては非常に怖いのだ…。
あのナチスも実は金には執着がなかった。
無かったからこそユダヤ人虐殺などが出来たわけだし、金で止めようとしても止める事はしなかった。
つまり金で転ばない独裁者は自分の野望の為なら大金を渡そうが相手に対して容赦しない指導者だと分かっている。
この手のタイプは味方であると凄く頼りになって頼もしいが、敵に回すとかなり厄介な相手となるのは当然だろう。
それ故に、КГБやモサドなどは職員が金で転ぶ事を防ぐ為に諜報員試験の前に適合者の身体検査を行い、彼らが適正だと分かれば、すぐに向かい入れる。
向かい入れれば敵に漏らす行為がなければ事実上は安泰となる。
そういう組織だからこそ、イスラエルやソ連及びロシアは相手に対して強い姿勢を取る事が可能だった。
それに比べてアメリカのIWCは志願制をやっているせいか、あいつを除き多くは金で転ぶ…。
だからこそ俺はマリーナたちにある事を言いたかった。
「マリーナ、典紀さん。あいつと闘う際には『お兄ちゃん』と叫んではならぬ。そして、どんな状況になっても冷静な判断を失うな。」
俺が言える事はただ、それだけだった。
何故なら、金で転ぶ奴じゃなく、IWCの為に働く我が妹は『カラプソフミーラ』の連中の身体を利用して、身体を入れ替える事で情報を盗もうとしているからだ。
つまり、ロシア側の情報や俺が持っている『9・11』テロ自作自演に関する情報を奪うために彼女は容赦なく動くだろう。
だから、彼女の行動は非常に危険で下手に動けば俺らも殺され、場合になって米露や中東での大規模な戦争が実行される危険性があると俺は感じた。
―――その頃、ジョンソン達はドロテアの狂気を感じ取ったせいで彼女の行動からは人間味を感じられないと鳥肌が立っていた最中の事…。
俺はあの女の狂気が凄く危なかった。
何故なら、簡単に人の身体を奪いに来る。
そして奪った身体で俺達の組織に何かやらかす可能性が高い。
つまり、疑心暗鬼を指せてIWCがイラク戦争を確実に実行させようとする魂胆が見え見えの計画なのに彼女の能力で俺は委縮してしまった。
「ゲオルグ。お前はあいつの妹の狂気を知っているよな。」
「あぁ、当然だ。あの女からは人間味を感じ取る事が出来なかった上に、こちら側に有利になる情報を漏らさなければ漏らしても良い姿勢が見える程、余裕があった。あの女、IWCにとっては一番、使い勝手の良い組織ではないかと俺は思う。」
その話を聞いたカミラは、ビビりながらも2人の話を聞いて…。
「つまり、核心的な情報は言わずとも重要な情報を漏らしたとしても彼女の能力で私らが却って不利になる事か…。」
カミラもアメリカの恨みの反動で真剣な顔になり、これから俺もあいつだけは警戒する事にした。
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