第43話 イタリアとイラクの悲劇02。

 つまり、我が妹ドロテアがアル・アビーム大統領を殺しに行く為に動いている事は間違いなかった。

 でなければ、ドロテアがイラクへ行く訳がない。

 そしてイラクには現在、ジョンソンやカミラ、ゲオルグ達が任務で向かっている。

 つまり、ジョンソンらは|我が妹

《ドロテア》と闘う可能性が非常にあると…。

 そう感じた俺は、彼ら我が妹ドロテアに殺されぬようにただ、ここで待つしかなかった。



 ようやく、イラクでアル・アビーム大統領と俺は話をする機会が出来た。

 勿論、アビーム大統領に欧米が彼の命を狙っていると報告する必要があると思った。

 だが、アビーム大統領がこの事を聞き届けられるか俺はとても不安を感じる。

 何故なら、アビームはアメリカ政府から狙われており、その影響で警備が厳重になっており、俺と話に会えるのか凄く不安だった。


「なぁ、ゲオルグ。お前は、アビーム大統領と話せるか?」


「僕には良くわからないね。けど、アビーム大統領はアメリカに狙われる事は間違いないよ。何故なら重武装で僕たちが彼に逆らえば殺される事を知っているから余計に…。」


「確かに…。私らはいつでも殺しても良いぞ、みたいな姿勢がこの軍隊からは感じるからな。だが、アビーム大統領は何処にいる?」


 アビーム大統領が何処にいるのか分からなかった俺達は警備兵に警戒しながらこれからアビーム大統領が何処にいるか探す準備を整えていた。

 すると…、

 俺の…、

背後に…、


「ジョンソン。お前たちはここに来たのか?」


「アビーム大統領殿。貴方は無事でしたか。」


 当然、彼はこの国の大統領故に、ため口で話せば警備兵に殺されると思った為、丁寧な言葉で彼に話さなければならなかった。


「アビーム大統領殿。貴方がご無事で何よりです。」


「成程、君たちはロシアから来たのは私がアメリカ政府やIWCなどに狙われている故にその件の報告に来たのか?」


「その通りです。アビーム大統領殿。私たちはあなた方にIWCなどに狙われている事や彼らの手口について話しておきたいからここへ来たのです。」


 俺は彼に言わなければならない事が沢山ある。

 IWCの事、シュタインの妹ドロテアが彼を狙いに行く事、イラク戦争が起こされる可能性があり得る。

『9・11』テロはアメリカが、イラクなどの中東に戦争を仕掛ける為に作られた自作自演テロ事件だ。

 しかも、ただの自作自演テロでなくイスラエル製の小型放射能爆弾でWTCの骨組みは溶解し、見事に崩壊した。

そして崩壊したビルは塵となり、ニューヨークが放射能まみれになってしまった。

 また、爆発した際にはかなり高温である事から、直接被曝すれば周辺には何も残らず、骨すらもなくなる。

 故に小型放射能爆弾がWTCに使われた経緯からこのイラクに対しても使われる恐れが十二分にある。

 勿論、アビーム大統領殿もその事について熟知していて…、


「当然、私がIWCに狙われている事は既に君たちもご存知の通りだ。だが、私は例え、民から反発されてもこの国をサウジアラビアやイスラム原理主義から守らねばならないと思っている。」


 凄い、アビーム大統領は英国の首相と違い、覚悟を持った男だ。

 彼もアメリカから狙われている事を考えると例え、国民を大事にしなくても国を守る決意が英国とは違うと俺は感じた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る