第26話 Два Бондие. (2人の絆。)

「ゲイツ。お前は、俺をアメリカに連れ帰す為の任務を請け負っているだろ。」


「…。そうだ。」


 やはり、俺をアメリカに連れ戻そうとすることが最初からの目的だったか。

 つまり、俺から情報を炙り出す為に奴らは俺の居場所を突き止めた事か…。

 なら、状況は早いな。


「マリーナ。ゲイツという男から杖を奪うことが出来るか?」


「あぁ、私の超能力で奪うことが出来る。」


…よし、まずは俺達であのゲイツ爺から杖を奪わないとな。


…この変態ホモ野郎ゲイツが…。


「行くよ。シュタイン。私の超能力で奪えば良いだろ。」


 あいつが本格的にあの変態ホモ野郎ゲイツから杖を奪い始めたと思った俺は反撃対策の為にすぐさま、詠唱を始めた。


Проспект Краснныйプロスペクト クラスヌィ на Концовナ コンツォフ СШАセシャー. Большоныйボリショヌィ на Предидентыナ プリェヂデンツィ з Транпズ トランプ. (赤い通りはアメリカの終わり。偉大なるトランプ大統領よ。)」


 勿論、トランプはアメリカの大統領ではない。

 現職の大統領はデービット・ハービーだからだ。

 俺はその掛け声にて2回連続で発動できるように通常の空気圧で変態ホモ野郎の攻撃をマリーナに向けさせぬように心がけた。


「くっ。私の能力の弱点を突き破られたか。」


 ほう、あいつは凄く焦っているようだな。

 あの焦り方は確実に自分の能力で対処できない事が明白なのだろう。

 なら、俺は奇襲させるのみだ。


من تو برای.マン トゥ バラーイー (俺の為に…。)」


 俺はペルシア語で更なる詠唱を使う事で能力の発動条件を整え、あの男が気を取られている隙に列車から突き落とそうとした。


「よし、シュタイン。これであの変態紳士から杖を奪ったぞ。」


「くそ。お前らに負けたら俺は大変なんだぞ。」


「はぁ、どうせ俺らに負けたら死ぬんだろ。どうせ死ぬなら列車から突き落とされた方が良いだろう。」


 俺は変態ホモ野郎を突き落とす覚悟で攻撃する事を誓い、これからあの男を本気で殺そうと思った。


「ふふっ。君たちはあの契約書の事を知らないようですな。」


「何だと…。」


 あの契約書って能力者の書類なのか。

 どういう事かよくわからないが、俺はこの男を生かす必要がないと思ったので今すぐにでも能力を発動しようと思った。


「あの契約書の恐ろしさをよく理解できない君たちは幸せ者だね。」


「何だと…。」


「あの契約書は悪魔の契約書で一度契約したら能力が得られる一方、それと引き換えに自分達を縛り付ける契約書だ。」


 俺はどういう意味で彼らが語っているのかよくわからなかったが、少なくともあの男から語られた事は何かしら異常性を感じた。


「契約書の種類は3種類ある。だが、君達には詳しい事は教えない。さぁ、私を殺してくれたまえ。」


―――何だ。あの男は。しかも自ら殺す事は恐らく自分の証言を隠蔽させる為に何かあるとさえされる。


「分かった。」


 シュタインは、自分から殺される事を願望しているのは自分の証拠隠滅だと怪しまれたが、契約書が何かしらの副作用があると考えるとこの男を生かしてもIWCに殺されるだけだと思ったので能力を発動して殺害した。


「シュタイン…。」


「マリーナ。あの契約書がどんな危険があるのか俺には分からない。けど、早くイタリアに行かねばならぬな。」


「あぁ。」


 俺とマリーナはゲイツを倒した後、列車で休みながらこれからベルリンへと向かって行った。

 恐らく、これから更なる敵が現れるだろう。

 だが、それでもイタリアの状況を見渡す必要があった。

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