第18話 反逆のトルドー。
トルドーがSICSに所属してたなら何故、彼が自ら西側に懐疑的な行動を公言するんだ。
ここにいる連中は皆、西側諸国に懐疑的な考えを持った奴らが集まっているから余計にいう必要性がない。
しかも西側と何故、ぼかすのだろうか?
普通は国名をいう上に、カナダの行動に対して懐疑的な行動をとる筈だが、奴からは何も反逆の気持ちも感じ取れない。
だが俺は、これでようやく『
そう、犯人はジェイコブ・トルドーだ。
俺を含め、他の6人がそれぞれ盗聴カメラの件で懐疑的な行動をとってきたのに対し、彼だけはこの行動に対して非常に甘い態度を示してきた。
何故、そうするのか?
それは、彼が盗聴カメラを付ける事で『アイズ・フィフス』の関連機関であるカナダのSICSに情報を送る為だと分かっていたからだ。
「トルドー。貴様が犯人なら俺は間違いなく、貴様を殺す。どうせ、貴様はロシア政府からの契約書に契約していないだろ。」
俺は、デラウェアの刑務所にサインしたあの契約書がもし、ロシア政府発行なら彼が逆らえる態度を示せるとは到底、思えない。
何故なら、ロシア政府が発行した契約書ならロシア政府が有利になるように書かれているから、逆らえる訳がない。
逆に彼は偽契約書を作成し、アメリカやカナダ政府などの西側政府の契約書を使って能力者になっているから
だが、それは
だから…。
だから俺は、この男だけを殺してでも自分の命とアメリカの言論の自由を守らなければならない。
例え、その契約書の影響でロシア政府に縛られたとしてもアメリカにいる時より、俺は凄く安心できる。
だから、こいつを殺して俺がロシアに亡命した事を隠蔽しなければならないと感じていた。
「トルドー。お前を殺してでも絶対にアメリカに俺が逃げた事をばらさぬ。」
「ほう。シュタインよ。君がアメリカから逃げたのは9・11の真実と自分の命の為だろ。なら、ロシア政府の契約書に直筆で署名したお前は既に自由の身でない。」
分かっている。
俺は契約書の影響で死ぬまで、ロシア政府により縛られる。
だが俺は、ロシアに逃げてようやく9・11テロの事が安心して話せるようになったんだ。
だからこそ、アメリカ政府から逃げる為、俺はこの能力でトルドーという野郎を絶対に殺してやる。
「
俺はこの掛け声でこの能力の力を発動できると思っていた。
「ほう、それが君の能力者の対価か。だが、俺の対価は既に支払われている。さようなら。シュタイン君。君の妹にロシア亡命の件を話すよ。」
何…。
俺の能力を発動する前に奴が去っただと…。
しかも、IWCに忠誠を図る俺の出来損ないの妹に何を話そうとするんだ。
「シュタイン。お前が、壁を壊したことは悪いが、お前が気づかなければ間違いなく俺たちは殺されていた。」
「ありがとう、シュタイン。アンタのお陰で私らは無事だったんだ。」
マリーナ、典紀。
貴様らがいたからこそ俺達は救われたんだ。
だから貴様らに感謝する。
そして俺は、何としてもトルドーを殺さなければならなかった。
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