第17話 誰があれを取り付けた…。
俺達は食事を終えてから、『カラプソフミーラ』寮に戻り、俺、マリーナ、典紀、ゲオルグ、ジョンソンの5人はこれから盗聴器の件で話し合う事にした。
「お前ら『
「そうだぞ。典紀。」
「ジェロディ、デービット・トルドー。お前らも悪いけど、緊急で話が出来た。だからお前らの話に加わってくれ。」
「了解。」
「勿論だ。」
俺は既に分かっているが、典紀さんはトルドーやジェロディという名前について俺は知らなかったが、恐らく彼らも政治犯で亡命した男達だろう。
だからこそ、緊急でこの事情を話さなければならないと典紀さんは感じたんだと思う。
勿論、俺もこの状況は危ないと思っている為、この状況を話すことが先決だと思っていた。
「トルドー、ジェロディ。実は俺達が食事しようとしていた『Андрей』で盗聴用カメラが設置されていた。しかも、あからさまに俺達の部屋にあらかじめつけられていた事から、犯人は米政府の諜報員であるとうかがえる。」
「成程。だが、俺も別の店で事情を話そうとしたらどういう訳か、盗聴器が付けられていた。」
トルドーという男は、別の店で盗聴器を付けられていた事を話しているが、どうして『Андрей』の俺たちの部屋だけ盗聴器が付けられたことを話さないだろうか?
「ところでシュタイン。お前はアメリカから脱出した男だろ。なら、俺に例の事情を話せよ。」
やはり、この男は怪しい。
どうして、カナダから亡命したのかその理由さえも語ろうとはしない。
普通、亡命するなら俺やジョンソンみたいに理由を語るだろうが。
「なら、トルドー。貴様がカナダから亡命した理由を俺やゲオルグに話してくれぬか。」
「そうだ。トルドー。お前だけその理由を話さないとはどうかしているぞ。」
俺だけでなくゲオルグもやはりおかしいと感じたせいか、何としてでもトルドーが亡命した理由について話さないといけないと感じた。
「トルドー。貴様はどうしてカナダからここへ逃げた。」
俺の質問でトルドーが動揺すれば、犯人は間違いなく彼だと実感できる。
何故なら、カナダの実態を暴露してもここに逃げ切るなんて普通はあり得ないからだ。
「シュタイン。俺がカナダからロシアへ逃げたのはアメリカの盗聴システム『
何で、こいつが『
『
だが、それだけを見ててもきりがないので他の質問をした。
「トルドー。貴様がカナダにいた頃に所属していた組織は何処何だ。」
これは重要な質問だ。
俺はこの質問に受けたなら間違いなく、元IWC職員と答える。
マリーナならフランスのパンテオン大学の生徒、ゲオルグならBND、ジョンソンはMI7、そして正雄はモスクワ大学の教授などと素直に答えられるだろう。
だが、トルドーは果たしてこの質問に答えられるか謎だ。
例え、答えられたとしても次の質問で彼の正体を少しづつばらす方法があると今の俺は思った。
「いや、俺はSICS(カナダの諜報機関。アメリカのIWCに情報提供している。)に所属していた。だから俺も西側政府に凄く懐疑的なんだ。」
おいおい、SICSと答えてもその後の質問がおかしいだろ…と俺はツッコんだ。
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