『カラプソフミーラ』始動編

第12話 ようこそロシアへ。

俺はとある男の指令でロシア行きの飛行機に搭乗していた。


「これで全員が搭乗したか。」


「余計なのが1名。搭乗しているがな。」


「典紀さん。余計な1名と言う言葉は差し控えた方が良い。」


「そうだよ。私も世界を変える為にロシアの…。」


「済まぬ。チェノフスキー大統領には機密性が高い任務だからあまり言うなと言われている。」


 彼の名は鷹川典紀たかかわのりき日露同盟にちろどうめいを形成した為、アメリカから目を付けられた鷹川元首相の息子だ。

 この人はアメリカに反発するからか、少しだけ安心出来た。


「なぁ、典紀さん。これからロシアの空港に向かうけど、その後どうするんだ。」


「お前達にはこれからチェノフスキー大統領と面会してもらいたい。」


「わかった。大統領と面会する際、1つだけ彼に頼みたい事があるけど大丈夫か。」


 俺はアメリカから脱出し、これからロシア現大統領であるチェノフスキー大統領に話したい事があったので彼(典紀)にそれを頼みたいと思っていた。


「チェノフスキー大統領に今、アメリカで起きている実態を全て話して大丈夫か?」


「あぁ、これから貴様も俺達の一員だから話して大丈夫だ。」


「あぁ、俺に話す機会を与えてくれてありがとうな。」


 よし、チェノフスキー大統領と会える機会を利用すればこれでアメリカの実態を暴く事が可能になる。

 ありがとうな。典紀さん。


「そう言えば、ジョンソン。お前は、ロシアに到着したらカミラの試験官になってくれないか?」


「あぁ、大丈夫だ。」


 ほげ、なんでジョンソンがカミラの試験官になったのか俺には解らない。けど、カミラには何かしらの素質があるからこそ、試験を行うのは容易だと感じた。

 だが、もしもカミラもこちら側につけばアメリカを潰す事に協力せざるを得ない。そうなれば、俺と共にアメリカ崩しの為に動けるのだと感じた。

 ただ、諜報員スパイになれる確率は物凄く低く、ましてはロシアの諜報機関である『ФСБエフエスベー』は金で転ぶ事がない上、志願制しがんせいは一切なし。

 本当に優秀な人間が試験する場所だから彼女カミラの命は大丈夫なのか俺は非常に心配した。


 そして俺らはロシアの首都、モスクワ北部にあるシェレメーチェボ空港に到着した。

 そして空港から赤い電車が俺らの迎えるようにやってくる。

 だが、ここからが俺にとってもカミラにとっても大変な戦いになるとは思いもしなかった。

 そして、到着ロビーからシェレメーチェボ空港駅のホームについた時、俺はあの人の勇姿を見てしまった。


「あの人は…。」


 タン…、タン…。


 なんだこの威圧感は…。


 この威圧感で今にも俺は非常に息が苦しくなりそうだ。

 そして、アメリカの指導者でもIWCにいた時でも感じなかった威圧感だ。


「ようこそ、ロシアへ。そして君達がこれからアメリカ潰しに行く『ФСБエフエスベー』の別部隊、『カラプソフミーラ』の一員だ。宜しくな。」


 この大統領の威圧感を感じたせいか、改めて俺はこの人に逆らってはならないとつくづく感じた。

 彼はIWC職員みたいな金で転ぶ様な行為を一切、許さないだろう。

 そして、暴露ばくろ反逆行為うらぎりを取り締まる強権的きょうけんてきなあのチェノフスキー大統領ではないか。

 そんな圧力を感じた俺はアメリカとは違う圧力を感じ、鳥肌が立って動けなくなった。


「シュタイン君…。」


(いきなり俺が、言われた。)


 俺はやつに視線を向けられ一瞬、身体が固くなった。

 そう、この男に逆らったら俺の命の保証がないと思った位の恐怖感を身に染みているからだ。

 だから緊張しながらWTCの件について言う言葉をどうすれば良いか考えていた。

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