第11話 キューバ人の知らないアメリカ。
「なぁ、カミラ。貴様は、アメリカをどんな場所だと思っているんだ?」
俺は、カミラにアメリカとはどんな場所なのか聞きたかった。
「アメリカね。みんなはあそこに行けば夢や生活が出来ると言っているけれど、医療面からすれば凄く劣悪な国だと思うの。」
「なる程。キューバ人にとってアメリカは一種の憧れがあるのか。」
「そうだよ。でも、シュタイン君は元アメリカ人なのに何故、アメリカを恨んでいるの?」
あいつが俺に対してアメリカを恨む理由について質問してきたので、俺は咄嗟に返答した。
「俺がアメリカを恨むのは半年前に起きたNY同時多発テロ事件の真実を語った事で、愛国者法で投獄されたからだ。」
「シュタイン君。それは本当なの?」
「あぁ、本当だ。アメリカは愛国者法を使って俺が持っている真実を封殺したんだ。」
「やっぱり本当だったのね。」
アメリカの不都合な面について知った彼女はそれを知るキューバ人が少ない事に怒りや憤りを感じ始めた。
「シュタインの言う事は正しいのに皆、アメリカに憧れるのが赦せないの。」
カミラ。お前がアメリカを恨む理由は分かる。
「私は、キューバで過ごした方が金はないけど、良い生活が出来ると思っているのに皆、医療後進国なのに豊かに見えるアメリカに亡命する奴らが赦せなくなった。」
彼女はアメリカの実態を知った時、その怒りの影響からか涙を流す位に悲しくなり、俺の身体に抱き付いた。
「あぁ、俺はアメリカに渡った仲間達が皆、その真実を知らずに投獄される事は日常茶飯事だ。」
俺はあいつを慰める為にアメリカの事情を話した。
「そんな真実を知った時は貴様もアメリカに対する恐怖や怒りが出ると思ったよ。」
俺は彼女を慰めるかの様に、自分の無力さに涙が出た。
「シュタイン。もう直ぐ、モスクワ行きの飛行機が来るからそれに乗りなさいよ。」
けどマリーナが、俺を誘ってモスクワ行きの飛行機に乗らせる様に勧めたので彼女とはこれでお別れだと思った。
「ゲッ。シュタイン君。その女は何処から連れてきたの?」
あいつは、俺の側にいるカミラと言う女を見て俺が不倫していると思い警戒している。
「いや、こいつはキューバの看護婦であるカミラ。俺はそいつに、アメリカの真実を語っただけだ。それで何が悪い。」
「全く、君は。アメリカに対して恨むのは分かるけど…。」
マリーナは俺がアメリカを恨む気持ちがある事を知っているが、この情報は機密事項の為、出来ればあまり漏らしたくなかっただろう。
「済まぬ。だが、カミラをロシアまで誘っても良いかね。」
俺はカミラをロシアまで誘い、自身と彼女にアメリカの実態を告発する為に、彼女をロシアまで誘って良いかマリーナに話した。
「カミラさん。貴方は、この情報を漏らさない事を前提ならロシアに行っても良いですよ。」
「勿論。私は、キューバを護る為にロシアに行くわ。」
カミラからは非常に強い決意を感じられる。
「なら、良かった。これから典紀さんの乗る飛行機を到着するから2人ともは搭乗する準備して。」
俺とカミラは、これから2人に搭乗手続きを進めながらこれからの戦いを覚悟した。
「あぁ、カミラも乗るぞ。」
「えぇ、そうだね。」
俺とカミラはマリーナの誘いによりこれからモスクワ行きの飛行機に搭乗する準備を始めた。
そして、モスクワ行きの飛行機が到着した後、ある男が現れ俺はようやくロシアに亡命できると思った。
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