4




たずな取るポプラの海をかき分けて犬進むなり鼻高々に



2


血液は塩から水と認識すサヨナラ後のハンカチの味



3


この塩が流れ出たのか吾の内よりサヨナラ後のハンカチの味




入らぬと知りつつ回すラジオ局灯りも消して地磁の音聞く



5


バス待ちの列を温める陽のもとでたがいに微笑む老いも若いも




陽へ向かう何をいわんや黒マントたった一人の影を伸ばせり




この坂で幼き我は転びたりふと膝なする我ここにあり


8


幾たびのしわに刻みし分岐点祖母の手のひら世よかくあれ

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