魔 石


 ――魔石。

 魔王が生み出す、高濃度の瘴気を圧縮した結晶体。

 それは魔王の眷属の力の源ともなる。

 魔石から溢れ出す瘴気を浴びると、モンスターは理性という枷が外れ、本来備わっている本能と破壊衝動のみに従って行動することとなる。


『ニンゲンを狩れ。喰らえ。殺せ』


 その本能の声がどのようにして生まれたものなのか、知るものはいない。

 この、モンスターの解き放たれた状態を“暴走”と呼ぶ。

 

 また、瘴気は動植物、人間、あらゆるものに影響を及ぼす。その生体を悪しきものへと変貌させる。身体は異形化し、理性を失う。そうしたものを人々は“魔獣”と呼んだ。


 魔王の眷属――四天皇たちは魔王より授けられた魔石を使い、暴走したモンスター、魔獣を増やし、その配下に加えていったのである。


 四天皇は、魔王に従順であったわけではない。中には、いずれ自分が“王”として世界を牛耳ろうと計画するものもあった。

 彼らは魔石のいくつかに自分たちの魔力を注ぎ“育てた”。計画を成し遂げるための力を蓄えるためだ。


 その野望も、勇敢なる人間の戦士たちに打ち破られることになる。四天皇の魔石もすべて破壊された。そのはずだった。 



 ――しかし。


「あ、”卵”……やっと見つけた」

「これでまた、育てられるね」

「そうだね」

「……誰か、来る」




 そしてレオンは、その2つの光と出会った。

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