第7話 罪悪感
「レオンさん、大丈夫……ですか? かなり顔色が悪いですけど」
「あ、ああ……大丈夫」
「ヴォルグさんと飲み明かしてきたんですね……もう、久々だからって無茶な飲み方しないでくださいね」
アイに心配をかけてしまった。
ああ。アイと向き合えない。罪悪感で、俺は沈み込んでいる。
「おはよう、レオン!」
ばしんと背中を叩かれた。ミネアだ。俺とは対照的に、元気はつらつとしている。なんというか、こう、輝いて見える。
俺は深いため息をついた。そこにルドルフがやってくる。
「どうした、レオン。てめェがそんな顔するたぁ、珍しい。お、そうだ。暇なら町の周りの魔獣でも退治してくれねぇか。あいつら最近、どんどん数が増えていやがるんだ。やっつけてはいるんだが、キリがねぇ」
「魔獣が?」
増えているときたか。
そうなるとこれは、魔石の影響が考えられるな。それを見過ごすわけにはいかない。
「マカロン!」
『ほいよ』
呼ぶと、マカロンが飛んできた。こういう時は便利だな。魔石の気配も探れるしな。
「それじゃ、ちょっと行ってくる。アイとルナは観光でも楽しんでてくれ」
「え、でも……」
「大丈夫、無茶はしないさ」
今は一人の方が気楽だし、ちょいと身体を動かしてこのもやもやとした気分を少しでも晴らしたい。
「わかりました。気を付けてくださいね」
「アイちゃんはルナが守るので安心するですよ!」
お前が一番不安なのだが。とは言わないでおこう。
「レオーン! 頑張ってね!」
船上からミネアが笑顔でぶんぶんと腕を振っている。
「なーんかミネアに気に入られてるよな、てめェ」
「んなことねぇよ。そんじゃ、ま、行ってくる。町で何かあったら教えてくれ」
「おう、よろしく頼むぜ」
俺は魔物を倒しに、町を出るのであった。
『おい、レオンよ』
「なんだよ」
『……あんまりアイを悲しませるようなことをするなよ』
「……見てたのか」
『船ん中にいたからな。偶然、視えちまっただけだ。あの後のことまでは知らねーけどよ』
「……そうか」
『ま、オレ様が口出すことじゃねーけどよ。オレ様、剣だし、男女のことなんざ知ったことねぇけど……いや、やめておこ。こんなことは言わなくても、てめーならわかっているはずだしな』
俺は何も言えない。
そうだ。俺はわかっているはずなんだ。なのに、どうして。
『あ。お出ましだぜ。わんさかと』
マカロンの声を聞くまでもなく、周囲の気配には気づいていた。
「魔石の気配、探れるか」
『もうやってる。あるぜ、この先にでっかい気配が』
やはり魔石の影響か。厄介だな。
片っ端から潰してやる。俺は腕を振り回し、魔物の群れへと突っ込んでいった。
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