第4話 ポーションを手に入れた!

 長い階段を下り、僕たちは2階層に辿り着いた。

 2階層では天井、壁、地面(床)の様相が変わっていた。先ほどの洞窟のような感じではなくなり、綺麗に整っていて、何というか、どこかの神殿の中のような雰囲気だった。

 長い通路が続く。

 僕は足を止めた。すると数歩先の前方の床から炎が噴き出してきた。

「よく気づいたわねぇん」

「あ、はい……色が少し違ったので、もしかしたらトラップなんじゃないかって」

「視野が広くなってきたわねぇん。その調子よぉん」

 またセエレさんにおしりをなでられた。いちいちなでるのはやめてほしいなぁ、もう。

「それにしても、静かですね」

「そうねぇん。前に来たときは確かここには、リザードマンとかワーラビットとかが住んでたんだけどねぇん」

 不気味な静寂が、ダンジョンの薄暗さを強調していた。

 立ち止っていても仕方がない。僕たちは先へと進んでいく。

 

 2階層は広く、迷路のようになっていた。どこまでも同じような景色が続いているので、どこを歩いているのかわからなくなる。慎重に、目印をつけながら進む。 ふと、通路の先に赤黒い扉を発見した。

「なんでしょう、ここ」

「何かしらねぇん」

「入って……みます」

「気をつけてねぇん」

 僕はゆっくりと扉を開ける。

 小さな、正方形の部屋だった。その中央には木箱のようなものがちょこんと置いてある。

 罠に警戒し、その木箱を開けてみる。中には青い液体の入った瓶が並んでいた。

「これ、何ですか?」

「これは”ポーション”よぉん」

「ぽーしょん?」

「液状で服用する薬の一種よぉん。これはたぶん、回復の作用を持っているものかしらぁん。ちょっとした傷なら、これを飲めばすぐに回復するわよぉん」

「へぇ……そんなものがあるんですね」

 飲むだけで傷が治るなんてすごいなぁ。また一つ勉強になった。

「こういった道具アイテムはダンジョン攻略には欠かせないものよぉん。せっかくだからもらっておきましょ」

「いいんですか!?」

「いいのいいの。使えるものは確保しておかなきゃ、後で後悔することになるわよぉん」

 そう言ってセエレさんは、僕の道具袋にポーションを何本か詰め込んでしまった。いいのかなぁ……。


 ――ぎぎぎぎぃ。


 突然の音に、僕たちは振り返った。けれど、何もいない。扉が前後に動いているだけだった。

「……先に進みましょ。何だかちょっと嫌~な感じがするわぁん」

「は、はい」

 僕たちは部屋を出た。

 

 迷いながらも、僕たちは進む。いくつかのトラップはあるものの、やはりモンスターなどの姿はなかった。

 そして僕たちは、3階層へと続く長い階段を見つけた。

 階段の下の方から、ひたり、ひたりと音がしてきた。モンスターだろうか。うめき声がどんどん近づいてくる。

「う、うぅ……助けて……くれ」

「わっ、わっ!?」

 現れたのは、やはりモンスターだった。しかも、血まみれの。モンスターはばたりと、僕たちの前で倒れてしまった。

 階段からは不気味な冷気が漂い、僕は全身に鳥肌を立て、身震いしてしまうのだった。

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