とある夜のふたり

 今日はちゃんとした宿屋に泊ることができた。巻貝でダガーに連絡を取った俺は一息をつき、ベッドに腰を下ろす。


 ルナはまくらの上で大の字になって、いびきをかいて爆睡している。鼻ちょうちんが膨らんでは弾けている。色々とあったし、疲れたのだろう。

 マカロンも静かだと思ったら寝ているようだった。叩いても反応はない。

「……ユーリさん、心配ですね」

 俺の隣に座ったアイがユーリを想い、言った。

 もしもアイがさらわれたら、俺だったら冷静じゃいられない。気が狂いそうになるかもしれない。一刻も早く、レムを見つけてやらなくちゃな。

 俺はアイの手を取る。ひんやりぷるぷるして気持ちいい。

「あ……ふ」

「まだ、慣れないか?」

 俺は手を離す。

「ご、ごめんなさい。レオンさんが触れると、全身が敏感になっちゃって……で、でも少しなら大丈夫なので、さ、さわってください」

 俺はふたたび手を握る。アイはもじもじしながら、手を握り返してくれた。

「あ……人間の姿になったほうが、いいですか?」

「そのままでいいよ。疲れているだろう」

「ありがとう……ございます。あ……んっ」

 なんだかいけないことをしている気分になる。けど、反応がかわいくてついさわさわしてしまう。アイが身をよじる。


「あ、あの……レオンさん。レオンさん、おしり好きなんですか?」

「ぶっ!」

「だ、だって……」

「変態じゃないからな? 俺は変態じゃないからな?」

 おしり叩いて快楽を覚えるような変態でないことは言っておく。断じて違う。というか、仲間たちから変態と思われていることにヘコむ。というか俺なんかより他の仲間連中の方がよっぽど変態度が高いと思うぞ、ちくしょう!

 でも、まぁ、好きか嫌いかで言えば、好きだとは思うよ、おしり。健全な男子だしな! 


「……わ、わたしには、変態なこと……しても……いいですよ?」

「ぶっ!」

 アイのスライムの身体が真っ赤になる。俺の顔もなんだか熱くなる。

「お、おしりも叩いていいですよ?」

「叩かない叩かない!」

「わたし、こんな身体になっちゃったから……でも、レオンさんに好きでいてもらいたいから……なんでも、します……きゃう」

 俺はアイにキスした。

「好きだよ。どんなアイでも。大好きだ」

「レオンさん……」

 俺はアイを抱きしめた。

「あ……うぅ、だ、ダメ! 敏感になりすぎちゃう!!」

「愛してる」

「レオンさん……わたしも、愛してる……あ、あぁっ! ダメ、あんっ!」

 アイの身体がびくんびくんと脈打つ。

「わ、悪い。大丈夫か」

「はぁ……はぁ……。だ、大丈夫、です。も、もっと……触って」

 俺はまたアイを抱きしめ、そして色々なところに触れた。とても心地よかった。

「レオンさん……レオンさぁん……!」

 夜は、更けていった。

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