移動魔法ノレーラの合成魔法
「博士!ついに出来たんですね!」
「うむ、これで物流業会に革命が起こるわい」
とある異世界のとある研究所で一つの研究が行われていた。
この世界は町の外に出れば魔物がウヨウヨする危険な世界である。
その為、商人は冒険者ギルドで護衛を雇って旅をするのだがどうしても被害が多く発生している。
そこでこの博士と呼ばれるロリコン…もとい、天才は一つの発明を開発させていた。
「それではこの移動魔法『ノレーラ』の魔法が込められた魔石をセットしますね」
童顔幼女体型の魔法使いである助手が魔石をセットしている姿を後ろから眺める博士は至福の顔でそれを見詰める。
可愛いお尻がプリプリと動く様を眺める為にわざとそういう作りにしたのは秘密だ。
「博士、準備万端です!」
「よし、それでは試しにこの手紙を送ってみよう!」
博士は中に『テスト』と書かれた手紙を装置のもう片方の中へ入れる。
そして、機械が動きだし手紙は空高く煙突内を通過して飛んでいった。
「よし、ちゃんと届いているか確認してくるのじゃ助手よ!」
「アイアイサー!」
幼女が走り去り博士は果実水を飲みながら完成を小さく喜ぶのであった…
数時間後・・・
「何故じゃ・・・何故帰ってこない?」
博士は研究所の部屋で困惑していた。
移動魔法『ノレーラ』は一度行った事のある町や村に天高く舞いあがり瞬時に移動する魔法。
それを装置の中へ入れてスイッチを押せば装置の中の物へその効果が発動するはずである。
事実手紙が空高く舞い上がるのを確認していたのだが問題が一つあった。
それは人や物なら町や村の入り口に落下するのだが手紙と言うとても軽い物である為に降下中に風に流されて違う場所へ飛んでいっていたのだ。
装置は完成していたのに改心のミスを犯している事に博士は気付かなかった。
そしてさらに1時間後・・・
「博士ー!ただいまですー!」
「ををっ?!どうしてこんなに遅くなったんじゃ?!」
「何故か手紙がロリマアの北の森にまで動いていて探すのに苦労したんですよ~」
「はっ?!そうじゃった!」
この時博士は始めて手紙が風に流された事に気付いた。
だがこれで装置が確実に稼動する確認が取れた事に間違いは無い、世紀の大発明に内心ガッツポーズの博士であったが・・・
ドゴーン!!
突然研究所の入り口が物凄い音と共に破られた!
何事かと覗いたそこには物凄い量の魔物が押し寄せていた。
博士は恐る恐る横に居る助手幼女の方を見る・・・
「ん~もしかしたら私の後を追いかけて来たのかもしれませんね」
「トレインちゃんか?!」
まるで電車の様に付いてきた魔物に襲撃を受けた研究所は勿論逃げ場など無く博士と助手幼女は装置の部屋まで後退した。
そして、装置の中へ助手幼女を入れてスイッチを入れる。
「博士!博士も一緒に・・・」
「すまんな、ワシの体ではこの中へ入ることは出来ないしスイッチは外にしか無いんじゃ・・・」
助手幼女が叫び声を上げている最中に空高く飛ばされきっと彼女は無事に逃げられるだろう・・・
博士はこの部屋を封鎖し偽装封印して研究所内を破壊し続ける魔物達の方へ護身用のこんぼうを手に駆けて行く!
そして、その後博士の姿を見た者は居なかった・・・
それから数百年の時が流れた。
その間に魔王が世界制服を企んだり勇者が異世界から召喚されたりして色々在ったりもしたのだが世界は平和になっていた。
そんなある日・・・
「ここがあの村のご先祖様が残した記録の場所みたいなんだけど・・・」
「本当にこんな場所に何か在るの?」
「まぁ魔王も滅んで平和な世界になったんだからゆっくりと色々探検していこうよ」
3人組のパーティが研究所後にやって来ていた。
勇者と賢者と料理人の3名である。
3人の美少女は世界制服をしようとした魔王を倒したパーティで世界が平和になってから世界巡りの旅に出ていた。
そして、とある村で謎の記録が残った石盤を発見しこの場所まで来ていたのだ。
「ん?これじゃない?」
賢者が偶然にも樹に偽装された扉を発見しそれを指差していた。
勇者と料理人もそこへ近付き扉に施された封印に気付く。
「これまた古臭い封印だな、よっと」
そう言って勇者が魔力を使って封印を解除する。
すると偽装が解けて扉が開きその中に在った装置が出現するのであった。
「なんでしょうかこれ?」
「分かりません、古代の魔道具でしょうか?」
「こっちは魔石が入っているみたいですね、もう片方が空ですが・・・」
3人はその装置に興味を持ちそこで野営をしながら装置を研究することにした。
そして、翌日・・・
「う~ん・・・分からん!こっちの魔石の魔力がこっちに流れる仕様みたいなんだけど何に使う装置なのか全く検討も付かないや」
賢者が頭を悩ませて料理人の作った固いパンに具材を乗せた物を口にする。
そんな賢者の困惑した様子に勇者が動いた。
「実際に使ってみればいいんじゃないかな?ほら、これスイッチっぽいし」
そう言って勇者は開いている装置の中へ魔法を使用する・・・
「とりあえず・・・幻惑魔法『マメーサ』!」
装置の中に入れられた魔法はそこに静止したので勇者はすかさず装置のスイッチを入れる。
すると賢者の超鑑定のスキルに声が届いた。
合成魔法:マメーラ
賢者は驚きに包まれた。
通常、魔法を合成する事は出来ないとされている。
だがその常識を覆す事が目の前で行なわれたのだ!
そして、勇者達の知らない間に作られた合成魔法マメーラは空高く舞いあがった。
3人は知らない・・・
マメーラ:一度行った事のある町や村を幻覚の霧が包み込む
この瞬間、メルキドの町がえらいこっちゃになった事を・・・
「す、凄いですよこれ!なんと魔法が合成されました!」
何も知らない賢者はテンションを上げて二人に話しかける。
「よし、なら色々試してみようじゃないか!」
「それじゃあ次は私が・・・消滅魔法『ニラフム』!」
「すかさずスイッチオン!」
再び賢者の超鑑定スキルに声が届く。
合成魔法:ニラーラ
(効果:一度行った事のある町や村を消し去る)
「凄い成功ですよ!これは本当に凄い装置だ!」
3人は知らない、この瞬間アボンの村が消失した事を・・・
「よ、よしじゃあ次はこれだ!変化魔法『シャモス』!」
「スイッチオン!」
合成魔法:シャーラ
(効果:一度行った事のある町や村の住人を魔物の姿に変化させる)
「ではこれは?魔法封印魔法『マトホーン』!」
合成魔法:マトーラ
(効果:一度行った事のある町や村の住人が魔法を使えなくなる)
「次だ次だ!覚醒魔法『メザーハ』!」
合成魔法:メザーラ
(効果:一度行った事のある町や村の寝ている人を強制的に起こす)
「これは?加速魔法『ピリオム』!」
合成魔法:ピリーラ
(効果:一度行った事のある町や村の住人の速度が加速する)
「ならば!開錠魔法『アカバム』!」
合成魔法:アカーラ
(効果:一度行った事のある町や村の扉という扉が全て開く、トイレだろうがお構いなく)
その後も様々な魔法を装置に叩き込んで勇者達は装置の研究を行なった。
勇者達は知らない、彼等が巡った世界各国の町や村がとんでもない事になっていると言う事を・・・
「凄い装置だ。でも魔法を合成出来ても効果が実感出来ないんじゃ分からないな」
「あぁ、私も途中からそれは気付いていたけど調子に乗って色々やってるのが楽しくてツイツイやりすぎちゃったよ」
肩で息をしながら休む2人に料理人が夕飯を用意して持ってきていた。
「お疲れ様、二人共今夜はピザなんて作ってみたよ」
「ををっ!料理人のピザは本当美味いんだよね!」
「早速頂こうか・・・なぁ勇者?」
「ん?なんだ賢者?」
「この装置さ、中に魔法以外を入れたらどうなるんだろうな?」
「試すか?」
「試そう!料理人、とりあえずピザを1枚使わせてもらうな」
「あいよ」
そう言って装置の中へピザを1枚入れる賢者。
そして、勇者がスイッチに手を翳す!
「スイッチオーン!」
ノレーラの魔法とピザが反応を示す。
だが幾度も繰り返し魔法が叩き込まれた装置は誤作動を起こしピザを巻き込んで大爆発を起こした!
その結果、勇者達3人は吹き飛ばされ装置は完全に破壊されてしまうのであった・・・
勇者達の居る世界の遥か上空、雲の上に位置する場所に唯一新である神と天使が数名居た。
「あっ危なかった」
「どうしました神様?」
「いや、今下界で色々と問題の在る魔法が発動しそうになったので神罰を使って強制的に止めたんですよ」
「へぇ~神様が神罰を下すなんて珍しいですね」
「私も始めての経験だったよ」
笑いながら神と天使は会話を行なう。
勇者達が偶然にも発動させたその魔法とは・・・
合成魔法:ピザーラ
(効果:一度行った事のある町や村にピザをお届けする)
完
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます