まさか……と思ったのに、その弓矢は物凄いスピードで空を駆け上がり、あっという間に星に到達し、突き刺さった。突き刺さったのだ。私は視力もそれほど良い方ではないのに、それがありありとわかった。氷の矢を刺された星は砕け散り、四散した。それはとても美しい光景だった。光が飛び散った空は、夜空とは思えないほど明るく見えたが、やがて光は小さくなり消えていき、辺りは静寂の闇に包まれた。


「何をしたの……? あなたは何者……?」


 弓使いの姿をした少年は、さっきは気が付かなかったけれど、キラキラと光っていた。その姿はまさに神々しいという表現がぴったりだった。


「ずっといってるでしょ。ぼくは『おおかみ』だって」


 その言葉に、私の中に今まで浮かばなかった答えが浮かび上がってきた。


「もしかして、『狼』じゃなくて、『大神』なの……?」


 口語で伝わるかはわからない。でも、私の質問に少年は嬉しそうに答えた。


「そうだよ! ぼくはきみたちがいうところの『かみさま』なの」


 それから少年は語り始めた。私は、隕石が落ちてくることを忘れ、聞き入った。


「いんせきがおちてくることはわかっていたんだ。でも、ぼくにはちからがなくてそれをとめることはできなかった。だからせめてうごけるいきものたちにはにげてほしくて。どうぶつたちにはつたえたし、おねえさんのうらないにもかんしょうしたのに、おねえさんはにげないっていうんだもん……」


 我ながら私の占いはよく当たるのだと自信があったのだけれど、あれほどはっきりと結果が出たことは初めてだったので、若干戸惑ってはいた。それは占いに干渉されていたからなのかと合点がいった。

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