ビールたん物語(ビアま!)

るきのるき

第1話 ピルスナーウルケル(元祖ピルスナー)

 約束の時間より5分早めに来たんだけど、ピルスナーウルケルさんはすでに1本目の3分の2ぐらい飲んでて、遅いよもう、と怒られた。場所は働く人が仕事帰りに立ち寄るような下町の立ち飲みビールバーで、昔は工場の労働者なんかがよく行ってたようなところなんだけど、今はもうシニアと親父しかいなくて若者はあまり立ち飲みなんかしない。

 ピルスナーウルケルさんは原産国がチェコで、ウルケルって名前の通り元祖ピルスナーなんだよ、と言った。ピルスナー系のビールは世界中にあって、口に含むと苦味があるんだけど、喉越しはさわやかでいくらでも飲める。

 あんまり背は高くないんだな。

「え、アルコール度が身長になるんだ。そうだね、あまりボリューム感はないかも」

 身長というか、まあ体型の基本数値かな。

 ピルスナーウルケルさんの服装はシャツが黄色系だけど、デニムのジーンズもパーカーも靴も帽子(キャスケット)も灰色とか黒で統一されてて、昭和の時代のレトロでボーイッシュな格好で、濃い緑色の髪と黒っぽい瞳、髪の毛もショートなので、この春に高校生になったばかりの中学生ぐらいに見える。まあ設定的にはお酒が飲めるということになってる(20歳以上)。

 仕事は住宅会社に勤めていて、バスタブとかキッチンとか、女性の意見があったほうがいいもののデザインをやっている。工科系の大学を出ていて、あんまり女子っぽいものがなかった環境なんでけっこう苦労しているらしい。

「家のほうも代々職工、っていうか工場の労働者みたいなことやってたし、ピルスナーを含むラガー、下面発酵のビールってのは近代工業技術によって生まれたんだよ?」

 今だとエールが少し脱庶民、って感じだよね。

「うちは春、まだ外が少し寒いときに、あまり冷やさないで飲むといいんだ。暑すぎたり寒すぎたりって時には向いてないかな。で、どんな感じだった、ボクの味は」

 ボクっ子です。昭和の日本のビールみたいだ。

「ひどいよ! 元祖はボクのほうなのに」

 黄金色のビールの元祖みたいなものでもあるしね。


味     ★★★☆☆

コク    ★★☆☆☆

個性    ★★★☆☆

おすすめ度 ★★★☆☆(これはその日の天気・体調に左右されそう)

お値段   388円

素朴な感想 お友だち感覚で味わえるビール。毎日飲んでも飽きないかもしれないけど、昭和の時代のオヤジギャグが出そう。

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