幕間〈硝子の夢〉
―――いつから狂っていたのか。
過去にふりかえるのは、ガラス玉を覗く行為に似ていた。
どうしようもない不可逆の現実で、小さな過去の欠片が浮かんでいる。
いつからだなんて、愚問だった。
僕らはただの外皮にすぎない。瞬きに生じた色の一つだ。
もうすでに終わっていただなんて、たぶん今だから思えるのだ。
僕は内側に意識を向けた。
『―――怪物と闘う者は、その過程で自分自身も怪物にならないように気をつけなければならない。深淵を覗き込むとき、その深淵もこちらを見つめている』
誰かの言葉がよぎる。思い出そうとはしない。
無意識の海の底。
ずっとずっと深くで、僕はあの存在を確かに知覚する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます