第9話 少しずつ縮まる距離
クリスマス目前で付き合ったけれど、クリスマスにエンくんは用事があると言っていた。
親戚に会うと言っていたけれど、クリスマスに親戚?と少し疑問だった。
本当は別の誰かと?と疑う気持ちもあった。
本来なら職業柄かなえは休みが取れないけれど、エンくんに会う前にとった休みだからもともと用事なんてなかったけれど、
クリスマスに休みをとっていたかなえはどうしても会いたかった。
エンくんは用事が終わったらきてくれる。そう言ってくれたからバーで待つ。
いつも来るのは0時回ってからで、
0時回ってから来ていた理由もあとで分かるけど、何も知らないかなえは早く会えるかも知れない期待をこめて早めにバーで待つ。開店と同時くらいに
でもやっぱりエンくんがくるのは0時過ぎで
それでも会えたことに幸せを感じていた、内緒の恋人。
お店をでてからタクシー乗り場へ向かうまでの
ほんの4,5分の間でエンくんを引き止めてプレゼントを渡した。
エンくんは急だったから何も用意していないと言っていて
これがチャンスと思ったかなえは、プレゼントとして家を教えてほしいとお願いする。
怪訝な顔をするエンくんだったが
渋々一緒のタクシーに乗る。ここからいつも帰りはエンくんを送って自分の家に帰るというお付き合いに変わるのだけれど。
運転手さんには住所も言わず、マンション名も告げず、どこを曲がって〇〇が目印で
という。警戒されていると悲しくなりながらも、彼の家を知れるということは心を許してくれてきている証拠だと感じた。
「じゃあ、ここだから。」
そういってエンくんは1人タクシーを降りていく。
ちょっとあがってお茶でもしていけよって言葉を少なからず期待していたかなえだった。
マンションが立ち並ぶ、どこのマンションかもわからぬまま
タクシーに残ったかなえはタクシー運転手さんにぼやく。
「恋人のはずなんですけどね。。」
タクシー運転手さんも
「そっかー、少し寂しいな。家にあがらせてくれてもいいのにな」
やっぱりそう思いますよねって思いながら
「付き合い始めたばかりですし、警戒心の強い彼に今日はじめて家教えてもらったから仕方ないですよ~」
自分を励ます為にフォローを入れる
「まぁ、彼まじめそうだもんな!」
と運転手さんもフォローをいれる。
運転手さんの変わり身の早さに少しだけ笑えた。
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