第24話 特訓

窓から見える景色は快晴でその一方、俺の世界は閉ざされた監獄のような世界だ。窓は約50センチくらいしか開けることができず、窓から逃げ出すことはできない。病棟から逃げ出したいと思ったことは何度か隔離部屋にいた時からあったが、一般病棟に来てカケルやヒロトと知り合いになってからは逃げ出したいと思うことも少なくなった。ナースの大林さんが言うには俺と同年代の中学生がこの病棟に2人もいるのはかなりレアなケースのようだ。実に有難い話である。今日の午前中はスナック菓子やコアラのマーチを食べながら過ごす。午後にはカケルが言い出したワールドクリエイトの特訓に付き合う約束になっている。前にテレビ中継で全国チャンピオンの葛城タクトの試合を見てからは俺自身も俄然とやる気になった。カケルもおそらくその試合を見て、それの影響で特訓をしようと言い出したのであろう。


12時00分になる。昼食を済ませ、少しの間部屋で休憩してから手にデッキを持ってホールへ向かう。既にカケルとヒロトはホールで対戦をしていた。


「覇王龍トワイライトドラゴンで攻撃だ!」


「うわ〜また負けちゃったよ。カケルちゃんはやっぱり強いなぁ〜これで3敗目だよ」


「よぉす、ソウタよく来てくれた。早速対戦しようぜ!今日はたくさんバトルして経験値を稼ごうぜ。なにせ今日はワールドクリエイトの特訓日だからな。大林さんに惨敗して俺様もこのままじゃダメだと思ってな。特訓しようと思ったわけよ」


「オッケーなら勝負だ!」


メインデッキから5枚ドローし、サイドデッキから5枚ドローしサポートゾーンへ置く。


バトル・ザ・クリエイト!


「えっ、それじゃあカケルも大林さんに負けたのか?」


「ああ、あの人本気出したら超つぇーぞ。なにせこの俺様が1ダメージも与えられなかったからな。あ、ここでレベル1の手招きミイラを召喚な。効果でサイドデッキから2枚、攻撃回数+1のカードとパワー×2のカードをTゾーンに送るぜ」


「カケルちゃんが1ダメージも取れなかったのは意外だね。どんな戦術なの?大林さんは」


「ああ、どちらかというと攻撃より守りの戦術だけど、その守りが固いのなんのって。覇王龍トワイライトドラゴンのメインであるTゾーンを全て使えるカードを使用する前に、月影のパラディンってカードで攻撃回数制限されちゃったしな…。しかもレベル1のマイティートーテムで月影のパラディンへの攻撃も完全に防がれたってわけだ」


「俺のターンドロー」


「なるほどねぇ〜、大林さんのデッキは守りのガッチガチデッキってわけか〜。Tゾーンデッキは攻めに爆発力があるけど、序盤はパワー不足だからね〜なるほどなるほど、そりゃダメージを稼ぐのはきついってわけだね」


「しかもパーフェクトゲームを喰らった」


「本当に!?へぇーカケルちゃんがパーフェクトゲームをされるなんてね。こりゃ特訓したくもなるわけだね」


俺のターンだ。カードを1枚引く。俺はレベル1の赤の宝玉にレベル1のシリアスナイトを出す。シリアルナイトはパワー4000で攻撃時にパワー+3000するカードだ。


「パワー7000のシリアスナイトにパワー+5000のサポートカードを使い手招きミイラに攻撃な」


「ここは攻撃対象変更カードを使うぜ」


手招きミイラへの攻撃はダイレクトアタックとなりこれでダメージ1だ。


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手塚サイド (ダメージ1)

・手招きミイラ


伊吹サイド(ダメージ0)

・シリアスナイト

・赤の宝玉



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「俺様のターンだなドロー!」


「ところでさちょっと気になったんだけど2人とも高校はどうするの〜?」


「そうだなぁ…俺は普通科の三日月高校へ一応行こうとは思ってるよ」


「俺様はクリエイト高校で推薦貰ってるからな。ショップ大会で優勝して、地方大会で惜しくも準優勝だったんだが、そん時にスカウトされてさ。それでクリエイト高校へ通うことは考えているぜ」


「あれ?三日月高校ってことはソウタちゃん俺と同じ中学じゃん!今までクラス同じじゃなかったのに全然気がつかなかったよ〜」


「本当か?じゃあヒロトも三日月中学ってことか!」


「なら僕たちは退院した後からでも一緒だね〜。よかったよかった」


おっと、バトルの途中だった…集中っと。自分に言い聞かせる。それにしてもクリエイト高校か。遠藤さんの話ではクリエイト高校はワールドクリエイトのゲームをより深く学び、普通科の一般科目の取るべき単位は少ないらしい。完全にワールドクリエイトに特化してる高校というわけだ。


「俺様はエナジーカードを裏にしてレベル2の怨念ミイラを召喚だ。効果発動!怨念ミイラは出した時、サイドデッキから3枚Tゾーンに送るぜ。俺が送るのは攻撃回数+1を3枚だ」


まずいな、既にカケルの場には攻撃回数+1のカードが2枚ある。

この状況であのカードが出されたら…。


「俺様は覇王龍トワイライトドラゴンを召喚だ。スキル発動!トワイライトドラゴンは手札を5枚デッキに戻すことでTゾーンのカードを全て使うことができる!これで使うのは攻撃回数+1を4枚にパワー×2を1枚だ。さらに場の攻撃回数+1のカードを2枚使い、パワー18000の7回攻撃だぜ!」


ソシアルナイトが倒されダイレクトアタック6回で覇王龍トワイライトドラゴンの効果で手札0になったカケルはダメージを与えた枚数、つまり、7枚ドローできるというわけだ。これでダメージが7:1


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カケル(ダメージ1)

・覇王龍トワイライトドラゴン


ソウタ(ダメージ7)

・モンスター無し

・赤の宝玉

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「俺のターン!ドロー。手札にレベル2がない。これじゃあいくらエナジーカードがあっても、強力なカードを出せない。俺の負けだ…。





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