第13話 神殿
お昼の食事を済ませた俺はSSTで7階へいった
手塚カケルと沖田ヒロトを見送り、ホールの公衆電話のところで
両親と電話をしていた。話す内容はたわいのない話や学校についてのこと。
特に俺のここに来てからの1週間前の記憶がないことを話したら、その間俺は
数日間行方不明で家に帰ってきた時は完全になんというか、
頭がイカれていた状態で、それを見かねた両親はこの病院に俺を
連れてきたらしいのだ。
昼時間は退屈だった。カケルとヒロトが居ないのでテレビのところの棚にある
漫画や本のある棚を覗いてみる。
隔離病棟だった時よりも小説や雑誌の類が多く、少年漫画やマガジンがない。
雑誌欄を漁ってみると、その中にワールドクリエイトの雑誌があった。
それによるとワールドクリエイトの全国大会優勝者の人が載っている。
その雑誌を読んでみる。
[ワールドクリエイト全国大会個人の部優勝者の葛城(かつらぎ)タクト選手。
圧倒的な戦術で他の選手を圧倒し、優勝を掴み取りました。タクト選手によれば
この大会で優勝する自信はあった。なぜなら自分がカードに選ばれた存在だから。
この台詞の裏には揺るがない自信を感じ取れますね]
カードに選ばれた存在だからか。随分と偉そうなことを言うな…このにいちゃんは。
でも全国大会で優勝したということはそれだけ実力があるということだな…。
「おーい伊吹くん。お前さんもここにきおったか」
振り返ると遠藤さんの姿があった。
「遠藤さんお久しぶりです。元気にしてましたか?」
「ホッホッホ、言うまでもなく元気になりつつあるよ」
「そうですか、よかったです」
「ところでその雑誌はワールドクリエイト全国大会のものかい?
確か葛城タクトが優勝したという」
「ご存じでしたか」
「その葛城タクトと実はわし、何回かバトルしたことがあるのじゃ」
「葛城タクトとバトルですか!?」
「ああ、実はな、わしと最初バトルした時はわしが負けたとはいえ
全国大会で優勝するほどの実力は無かったんじゃ」
「そうですか、葛城タクトは最初から強かったわけではないんだ」
「しかしある日、葛城タクトが神殿と呼ばれる場所に通っていたらしくて
それでしばらくしてわしと彼が対戦した時はぼろ負けじゃった。
おそらく神殿と呼ばれる場所で腕を上げたんじゃろうな」
「神殿ですか、俺もそこへ行けば強くなれますかね?」
「そうかもしれんが神殿ではあまりいい噂を聞かんからのお。
悪いことは言わん。神殿はやめときなさい」
「そうですか…残念です」
「じゃがお前さんが強くなれる道は他にもあるぞい。
ワールドクリエイトの専門の高校。クリエイト高校じゃ」
クリエイト高校。
一体どんな高校なのだろうか…。神殿という場所にいる
全国大会で優勝した葛城タクトはどれほどの実力者だろうか。
ワールドクリエイトの世界の一端を今日は拝めた気がした。
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