[礼の心]3
「うわッッ!!!」
俺は思わず近づいてきた兄ちゃんの顔を思い切りはたいてしまった
力抜けてたし
戦闘隊の兄ちゃんにはさほどダメージはなかったと思う
けど、
…て、そうじゃない!
兄ちゃん、まじで何なんだよ!!!
にいちゃんは笑いながら、俺がはたい
てしまった頬をなでてる
「やっぱ、こうゆうのはダメか」
あ、あたりまえだろー!!
にいちゃんほんとにヘンだ…!
「悪かった悪かった。びっくりさせたんだな」
いつもの優しい笑みで頭をぽんとなでられると、すこしだけホッとする。
いつもの兄ちゃんにもどってくれよ。こええよ…
泊ってくか?って言われたけど、
いつもなら泊るところ、俺は寮に帰る事にした。
兄ちゃん、やっぱりなんか変だし、腹もいっぱいになったし、バイクも乗れたし
今はとにかくくにに話したい。
寮までの短い道のり、兄ちゃんはまたあのバイクに俺を乗っけてくれた。
やっぱサイコー!!!
夜風が気持ちいい。
さっきの謎の行動さえなかったら、すげー楽しかったのにな…
寮の門前で、兄ちゃんがバイクを止めた。
俺が降りようとすると、
その間もなく、兄ちゃんの腕が俺の腰のあたりをすいっと支えた。
「礼、今日の事国彦には内緒な」
「…なんで」
「あいつお前と違って大人だから。お前もはやく大人になんないとね」
そのどこか挑発みたいな言葉に耳がじりっとしたのに、
なんか、どこ、触られたのか、
わかんないくらい俺は動転してて上手いこと反応もできなかった。
というか意味、わかんね、
国彦が…オトナ…?
なんで兄ちゃんがそんな俺も知らないような事言うんだよ
大人って
つまり…そうゆう意味、だよな
そりゃ彼女いたんだから、普通に考えたらそうゆう経験だってあったっておかしくないけど
あれ…
俺は、とたんすげーはずかしくなった。
くにに相談した俺の葛藤がすごく些細におもえて、
くやしくて、話しながら泣きそうになった事
さっき兄ちゃんを、拒んだ事、
なんか、ぜんぶガキみたいだ…
「またな。れえ、ちゃんと寝ろよ」
兄ちゃんが手を振るのを、ぼんやりと眺めながら、
俺はまだ混乱していた。
そもそもなんでくには、彼女できたこと俺には言ってくれないんだろう
俺がガキだから…?
オトナじゃないからなのか?
俺だって、兄ちゃんが女だったら、今頃…
なんて思ったけど、
想像ですら幼稚なパーツしか思い浮かばない
いや、そういうことか?
にいちゃんが、女だったらとかそんな…
そうじゃない気がする。
好きになるって
大人になるっていうのはきっと、
もっと…
……
って、そもそも結婚するって言ってたのに!!兄ちゃんおかしいだろ!!!
それにくにの事はくにに直接聞けばいいんだし
そう思い直すと、俺は国彦の寮部屋に急いだ。
部屋のチャイムをならすと同室の稲城が出てきた。
「国彦いる?」
「五嶋なら、今夜は内泊出してるよ?」
「ないはく?」
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