第3話
言われなくても、と思ったけど
どうやらロミオさんの様子がいつもと違うように見えて、ただ頷いた。
「礼!こっちこい」
「つめて~水」
「ばかだな~…だからおまえ気をつけろっつったろ」
「だってわかめがもう少しだったんだよ」
子供かよ。
いや子供だけどさ
かわいすぎんだろ
「今日はさ、二人の入学祝いなんだけど、俺からも報告があるんだ」
「兄ちゃんの報告?」
「実は、6月に結婚することになった」
……ん?
結婚…?
「…けっこん、」
れえが呆気にとられて言った。
「すげー急だろ、式もしないし、とりあえず書類だけ。あんまそうゆうのにこだわらない奴で助かったよ」
そんな話を聞きながら、れえがどんな想いなのか気になって横目で表情をのぞきみたけど、
れえは思いの外冷静な顔でロミオさんの話を聞いていた。
当然と言えば当然の反応なんだけど、れえの懐き具合から言ってもっとショック受けるかと思ったんだけどな。
「兄ちゃん彼女とかいたんだ全然しらなかった」
「お前らは?好きな女の子くらいいんだろ?」
「は?いねーよそんなの」
れえが珍しくロミオさんの言葉に不機嫌な面をする。
あー…“彼女”はれえにとってまだ禁句みたいだ
その件に関してはまだちゃんと機嫌直してないんだよな。
幼いころかられえとはいつも一緒だったから
何かと張り合って
れえはもとから負けず嫌いの性格で
まだそんなに差がなかった頃から身長や成績のことでせりあったりしてた。
れえの性格からして
俺に負けるのが単純に悔しいだけなんだってわかってはいるけど
彼女がいる事言わなかったぐらいでそんな怒るなんて
それすらいとおしく思えてくるから俺はもうダメだ
ぼんやりそんな事を考えていたら、れえが投げるように言った。
「くににはいるけどな」
少し冷たい拗ねたような表情でこっちを見ている。
ロミオさんがへえーやるなーとかいってひやかすけど
別に真実だし、いい機会だと思って言葉を返した。
「こないだメールで振られた」
「彼女に?」
「すげー短い期間で、一度しか会わなかった」
「…おまえマメじゃなさそうだもんなあ」
ロミオさん…よくわかってらっしゃる
「礼は、実はすげーマメになりそうだ」
「?そうなの?」
れえはロミオさんの言葉の意味が本当によくわからなくて首をかしげてる
「だってお前かわいいもん。言葉にしないのに俺の事好き好きって顔に書いてあるしな」
オイオイ…
聞く人が聞いたら誤解するぞその発言
むしろ誰がしなくても俺がする。
「…はあ!?兄ちゃんまでキモい事いうな」
「キモいて、あーっれえやっぱクラスメイトからモテモテかー?」
ロミオさんが面白そうに腹をかかえて笑いだす
この人冗談でれえに白ランけしかけたな…
「兄ちゃんが白ランのがおもしれーっていうから、散々な目にあったんだからな!」
「でも貞操は守ってんだろ」
「ていそー、ってなに」
「犯されてはないんだろって事」
無邪気に聞いてきたれえに、俺が端的に答えるとれえはすげー急沸騰したみたいに怒りだす
それを見てロミオさんがよしよしつってなだめてる
俺だってわかるよ
れえがロミオさんの事好き好きって顔に書いてあるって
だってその証拠に、そうやってからかわれんのがなにより嫌いなれえが、もうロミオさんを許してしまってるのがわかるんだ
もしかしたらそんな関わりすら、れえにとっては楽しいのかもしれない
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